株式会社AWARDの渡邉です。昨日は英国のメイ首相の演説があり、今後の方針としてEU離脱とともに単一市場からも脱退する意向を示しました。
単一市場とは、
人、物、サービスおよび資本がそれぞれの国内と同様に、国境や障壁に妨げられることなく、自由に移動することができる市場
と位置づけられています。英国はEU離脱という国民投票の結果を受けながらも、単一市場には残る選択肢を示すのではないか、という見方もあったところをメイ首相が否定したことになります。完全にEUの枠組みから離脱するということでハードブレグジット(強硬離脱)とも言われています。
メイ首相の演説の中では、離脱交渉での優先事項も示されました。内容としては、
・移民流入の制限
・欧州司法裁判所の管轄からの離脱
・EU関税同盟の正式加盟停止
などが挙げられています。関税同盟から正式に抜けることで、英国独自の貿易協定を締結し、欧州各国となるべく摩擦の少ない形で貿易を維持したい考えも示されました。
英国は3月末までに2年間に渡る正式なEUからの離脱交渉をスタートする予定です。今後もEU離脱に向けた交渉が明らかになるごとに世界市場には一定の影響を与えていくことになるでしょう。
今回のメイ首相の演説でポンドの価値は一時期前日比2.5%も上昇しました。これに対して、演説前の不透明感により下げていた各国の株価は少し値を戻しています。米国のトランプ氏の政策期待で世界的にも株価が上がり過ぎていたので、その調整の側面も大きいでしょうか。
今年は昨年の世界的なイベントであった、
・英国EU離脱
・トランプ氏米大統領就任
の影響を受けながら市場は揺れ動いていくことになります。今回の演説は英国の方針がある程度定まったとして前向きな材料として捉えることもできるのではないでしょうか。これに対するEU加盟国の反応、そしてそれに続くEU各国の選挙の結果などが気になるところです。
次は1月20日に控えるトランプ氏の大統領就任がビッグイベントとなります。トランプ氏の発言と市場の反応に要注目です。