株式会社AWARDの渡邉です。
中国経済を取り巻く危機
について今回は取り上げさせていただきます。
1.不動産から始まる債務危機
中国の大手不動産会社である中国恒大集団の危機は2年ほど前に話題になりました。資金繰りに行き詰まり、開発途中で多くのプロジェクトが止まってしまい、販売されたにも関わらず完成していない住宅が昨年末時点で72万戸あるとのことです。
神奈川県川崎市の世帯数が、2021年5月1日時点で755,223世帯です。だいたい川崎市と同じくらいの規模で、家を買ったにも関わらず完成せずにそのままになっている顧客を抱えていることになります。
この中国恒大手段は、17日にニューヨークの裁判所にアメリカ連邦破産法15条の適用を申請しました。債務整理に向けた取り組みの一つとのことです。現在中国恒大集団が抱える負債額は約48兆円とのこと。先進国の国家予算規模の負債を抱えた状態になっています。
2.中国恒大だけではない債務不安
中国で危機に陥っている会社はこれだけではありません。
碧桂園という会社も現在債務危機を迎えています。今年前半の最終利益が1兆円前後の赤字に陥っており、資金調達で深刻な困難に直面しているとされています。
また、不動産会社に対して資金調達を支援していたシャドーバンキング(影の銀行)もここにきて注目を集めています。
中植企業集団という非上場の信託会社があります。この会社は、約20兆円を超える資産を管理しているのですが、数千人の顧客への支払いを停止しています。
こちらの信託会社を通した投資先は、中国恒大集団などの不動産会社が運営するプロジェクトになっており、結果として投資家のもとへの支払いが滞ることになっているとのことです。不動産関連商品からの危機というのは、リーマンショックも思い起こさせるものです。
不動産会社の危機から波及して、中国全体の金融不安に進展しつつあります。
3.中国経済と世界
現在危機に陥っている中国の不動産業界ですが、関連産業を含めると、中国のGDP(国内総生産)に占める割合は3割に上ります。
大規模な政府による支援策や、経済政策が打ち出されない限りは、中国経済はかなりの苦境に立たされると考えられます。
こうした状況を受けて中国国内で個人消費が落ちているという話もありますし、実際に消費者物価指数はマイナスに陥っています。
中国は今や世界第2位の経済大国です。中国が主要な市場であるという企業も多いでしょうし、中国から製品の元となる材料を購入しているという企業も多いでしょう。中国の経済低迷は世界中に影響を与えます。
中国の状況はこの先の世界経済における懸念材料になりそうです。
4.まとめ
不動産会社の危機から始まり、中国経済に対する疑念は深まっています。巨大な力を持つ中国だからこそ、そこの低迷は世界全体にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
中国の経済動向には注目していきましょう。