株式会社AWARDの渡邉です。
ロシア内で民間軍司組織であるワグネルがモスクワへの進軍を行い、
危うく内乱の危機か
となる一幕があった模様です。
1.ワグネルとは
2.事件の背景と推移
3.事件の決着
といった流れで書かせていただきます。
1.ワグネルとは
ワグネルは、ロシアの民間軍事会社であり、2014年頃に登場しています。
ワグネルを設立したエフゲニー・プリゴジン氏は、プーチンのシェフと呼ばれることもあるロシアの実業家であり、今回のウクライナへの侵攻において正規のロシア軍とは別にワグネルを率いて重要な地位にありました。
2.事件の背景と推移
昨年から続くロシアによるウクライナへの侵攻では、ワグネルが前線において大きな被害を受けていました。
大きな人的な被害を受けており、かつ十分な物資が供給されないまま戦闘を続行させられているといった点から2023年5月頃よりワグネルを率いるプリゴジン氏とロシア軍との確執が深刻化。
ショイグ国防相やゲラシモフ参謀総長を呼び捨てにして弾薬不足を非難するなどしていましたが、自体は急転直下。プリゴジン氏が通信ネットワークに対してロシア軍指導者を「懲らしめる」といった投稿を行い、ワグネルがモスクワに進軍を始めたのです。
プーチン氏はこれらの動きを受けてテレビ演説で「われわれが直面しているのはまさに裏切りだ。過度な野心と個人的な利害が反逆につながった」とワグネルの動きを非難しました。一方、プリゴジン氏はプーチン氏の演説後にワグネルが降伏することはないと断言。
さらにプリゴジン氏は6月24日遅くに、「24時間でモスクワから200キロ圏内まで来た」との音声メッセージを投稿しています。ロシア軍内にもワグネルと同調する動きがあったと報じられ、ロシアの内乱に繋がる可能性も懸念されていました。
3.事件の決着
しかし、事態は収束の方向に向かいます。
ベラルーシのルカシェンコ大統領が、ロシアのプーチン大統領からの要請でプリゴジン氏と交渉を行い、進軍を止めることで合意したとのことです。
ロシア国営のタス通信によれば、ロシア大統領府は事態収拾に向けた取引の一環として、
・プリゴジン氏とワグネル戦闘員に対する刑事訴追の取り下げ
・プリゴジン氏のベラルーシへの出国
を条件として、ワグネルはモスクワへの進軍を停止したようです。他の条件は不明な点も多いですが、ショイグ国防相やゲラシモフ参謀総長の両名更迭が約束されたという話もあります。
プリゴジン氏はワグネルのモスクワ方面への進軍を停止し、流血の事態を避けたいとして戦闘員らに各拠点に戻るよう命じました。
プーチン体制にとって過去最大の脅威となった事態はこれでひとまず収束したようです。終わってみれば1日ほどの出来事でした。
4.まとめ
ウクライナ侵攻における最前線にあったワグネルのモスクワへの進軍は世界へと衝撃を与えました。迅速な収束が行われたことから、ロシア側の仕掛けている情報戦や、体制変更のための茶番劇だと取る向きもあります。
いずれにしても、ロシア内の不安定な情勢を反映した事件だと思いますので、ウクライナへのロシアによる侵攻の終わりが近づいてきているのかもしれません。
世界にとっては様々な面で不確定要素になりますので、引き続きロシアの情勢には注意しておきましょう。