ドル円140円台突破

海外

株式会社AWARDの渡邉です。

2023年5月26日の未明に

ドル円140円台突破

しました。こちらは約半年ぶりのことになります。

1.円安の理由は?

2.株式・債券への影響

3.今後の懸念点

についてご紹介させていただきます。

1.円安の理由は?


円安の直接的な原因は、底堅い米国の景気と利上げ観測の影響になります。

現在米国の政策金利にあたるFFレートは5.00~5.25%と高い水準にあります。昨年1年間は米国が急激に利上げを行ったことで、円安が大いに進んだのは記憶に新しいのではないでしょうか。

今年に入ってからは利上げのペースが鈍化しており、利上げの副作用である銀行の財務状況の悪化と倒産も起きてきたことから、利上げはそろそろストップするという見方が多くなって来ていました。

しかし、インフレが高止まりしていることや、米国経済がとても強いことを示す経済指標の発表などが要因となり、FRBがさらに利上げをしていくのではないか、という見方が増えており、円安が進むことになっています。

金利が低い円ではなく、金利が高いドルにお金が流れ、ドルの価値が上がっている、という構図です。

2.株式・債券への影響


米国の金利が高止まりしたり、さらに利上げが進むと、全体的な株価にとっては向かい風となります。昨日はNYダウは停滞していました。

一方で素晴らしい決算を発表して、株価が急騰しているNVIDIAのような株式もあります。NVIDIAは特にGPUに強みを持つ半導体メーカーであり、今後AIの発展などとともに、さらに需要が高まるのではと予想されています。

また、円安は日本株にとっては追い風となります。海外を主戦場としている企業にとっては円安になると売上が増えますし、企業価値がドルベースで変化しにくいので株価が上がる、といった現象が起きます。このまま円安が進んでいくことになると、ただでさえ強い日本株の勢いが加速するかもしれません。

なお、債券は金利の上昇が起こると価格が下落すると見ておくのが良いでしょう。

3.今後の懸念点


そんな中、今特に懸念されているのは、

・米国の債務上限問題

です。

債務上限に関しては、国債が債務不履行に陥るおそれがある来月6月1日を目前として、いまだバイデン政権と野党・共和党の協議が難航し、合意に至っていません。

格付け会社のフィッチ・レーティングスは、5月24日に期限までに債務の上限を引き上げられないリスクが高まっているとして、米国債の格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げています。

インフレの影響もありますが、米国債の格付けの低下があれば、米国債が売られて価格が下がり金利が上昇したり、ドルの価値が下落するリスクもありますので、ここにも要注意です。

4.まとめ


米ドルの価値が強まっていますが、インフレ、銀行の財務状況、米国の債務上限などの問題が複雑に絡みあっており、今後の予想は難しい局面となります。ここしばらくは相場の急変にも注意をしたいところです。

ひとまずは債務上限問題がどのように解決されるのか、ここ1週間ほどは要注目です。


執筆者:渡邉亮

こちらのコラムは日々金融情報に触れて頂きたいという想いから継続して配信しています。あなたにとって大切な方にぜひご紹介ください。

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