株式会社AWARDの渡邉です。
11月8日(火)に大統領選の間の年に行われる米国の中間選挙が行われました。次の大統領選は2024年となりますが、米国のここ2年間の政治の流れを決める大きな選挙であると言えます。
1.事前の予想
2.現在の状況
3.相場への影響
といった流れでご紹介させていただきます。
1.事前の予想
今回の選挙の争点として、有権者の関心が最も高かったテーマは、
『インフレ対策』
です。米国では前年比で+8%以上といった急激な物価上昇が進んでおり、苦しんでいる市民が増えています。
このインフレの責任が現在の民主党・バイデン政権にあると考えている有権者が多く、共和党の強い追い風になっているとされていました。
今回の中間選挙では、上院の3分の1と下院のすべてが改選されています。今までは上下院ともに民主党が過半数を占めていた(上院は同数ですが議長が民主党側で投票権を持つので過半数)のですが、この選挙でどちらも共和党が過半数を取るのではないか、との事前予想となっていました。
2.現在の状況
開票の結果はまだ完全には出ていませんが、現状では、
上院:接戦
下院:共和党が優勢
となっています。
開票直後は共和党の勝利ばかりが伝えられましたが、上院は接戦となっており、共和党が勝ちきれなかったと見る向きが強くなっています。
今回の有権者の最大の関心事はインフレ対策でしたが、次点で関心が高いテーマは人口妊娠中絶についてでした。こちらは民主党側が主に選挙テーマとして取り上げ、中絶をすることができる権利を守る、ということを掲げて一定の支持を広げたようです。
また、共和党では前大統領であるトランプ氏の勢力が力を強めており、今回の選挙にもトランプ氏を支持する候補者を多く送り出していました。これを民主党は逆手に取りました。トランプ氏の支持者が選挙結果を認めないことなどを捉えて「民主主義そのものが問われる選挙」と今回の中間選挙を位置づけて、有権者に選択を迫ったことが機能した模様です。
3.相場への影響
現状では中間選挙の状況がわかるにつれて、株式市場は下落しています。
開票前に共和党が上院、下院ともに過半数を奪還することで、株価に良い影響があると考えていた投資家が多かったため、上院で過半数を取り切れない可能性があることがマイナスに左右していると考えられます。
とはいえ、これまでの大統領、上院、下院がすべて民主党、という状況からは捻じれの状態になることに変わりはありません。過去、中間選挙から次の大統領選までの間には株価が上昇する、という強い傾向があります。民主党は次の大統領選での勝利を目指し、ここから2年間経済対策を強く意識していくでしょうから、その傾向は繰り返される可能性が高いのではないでしょうか。
なお、共和党のトランプ氏が来週にでも大統領選への立候補を発表するとの見方もあります。そのあたりも今後の米国の政治にとっての影響が大きそうなところです。
また、今回の選挙の争点となったインフレに関しては、日本時間11月10日22:30に10月の米国の消費者物価指数が発表されます。毎月発表される消費者物価指数がどう変化していくかも、株価への影響が大きいので要注目です。