米CPI予想を下振れ、インフレ懸念低下

海外

株式会社AWARDの渡邉です。

昨日8月10日に米国の7月CPI(消費者物価指数)が発表されました。米国の今後の金融政策を占うものとしてかなりの注目を集めていましたが、結果としては予想を下振れることになりました。

1.米CPIになぜ注目が集まっていたのか?

2.2022年7月の結果は前年比+8.5%

3.米国の株価指数の動き

についてまとめています。

1.米CPIになぜ注目が集まっていたのか?


最近の米国市場では株価の反発が観察されていました。米国の景気が腰折れするようだと、FRB(連邦準備理事会)は利上げのペースを落とさざるを得ないので、現在のような急激な金融引き締めは続かない、という予想が市場でされていたからです。

一方で、米国では7月から多くの企業の第2四半期の企業決算が発表されましたが、7割以上の企業では業績が市場予測を上回っており、景気の減速が顕著になってきた、という状態ではありませんでした。これも6月半ばからの株価上昇の一因でした。

加えて7月のCPIで物価の上昇がひと段落ついたことが示されれば、企業の業績は良く、金融引き締めのペースも緩まるという、米国市場にとっては好ましい状態になることが予想されていたわけです。

2.2022年7月の結果は前年比+8.5%


結果として2022年7月の米CPIは前年同月比+8.5%でした。6月が+9.1%だったので、物価の上昇スピードはやや落ち着いたことになります。

ちなみにこういった数字は市場予想に対して上振れたか下振れたかが重要なのですが、今回は+8.7%と予想されていたので、予想を下振れたことになります。

この結果を受けて利上げスピードが緩まるのでは、という市場の思惑から、各国の通貨に対してドルが売られる、という現象も見られました。

ドル円の為替レートは、1ドル=135円前後で推移していたのが、7月の米CPIが発表されてから2時間で1ドル=132円まで円高に振れ、その後1ドル=133円前後に戻しています。

3.米国の株価指数の動き


米国の株価指数の動きを見ると、前日比で、

NYダウ:+1.63%

S&P500:+2.13%

NASDAQ:+2.89%

となっていました。利上げペースが緩まることで相対的に割高感が薄まりやすいハイテク株が多く買われました。NASDAQ(総合指数)はハイテク株が多く含まれる指数です。

個別株を見ると、FacebookやInstagramを運営するMetaが前日比+5.82%、電気自動車のTeslaが前日比+3.89%、半導体を扱うNVIDIAが前日比+5.92%といったところです。

物価の上昇スピードが落ち着け緩まれば、年初から売り込まれてきたハイテク株も復活に向かっていくかもしれませんね。

7月のCPIだけで今後の金融政策は決まりませんが、利上げスピードも一回に+0.75%ではなく、+0.50%ずつになるのではという予想も強まっています。引き続き経済の流れを観察していきましょう。


執筆者:渡邉亮

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