株式会社AWARDの渡邉です。
昨晩は6月の米国のCPI(消費者物価指数)の発表がありました。物価の上昇が続くと、利上げのペースが早まる可能性があるということで警戒されていましたが、結果としては市場の予想を上回る伸びを示しました。
現在のマーケットの状況をまとめていきましょう。
予想を上回る物価の伸び
総合CPIは前年同月比+9.1%の上昇となりました。こちらは1981年11月以来の高い伸びとなります。エコノミストらが予想していた数字を上回る伸びになったことで、一時ドル円の為替レートもドル高に大きく動きました。
なお、前月比での上昇率は+1.3%となっており、こちらは2005年以来の大幅な伸びとなっています。1ヵ月間で物価が1%以上あがっていくというのは、現地で生活をしている人たちからすればかなりの恐怖なのではないでしょうか。
物価上昇が止まらないことを受けて、米国の金融当局は利上げのペースをさらに速めた方が良いかもしれない、というプレッシャーを感じていることと思います。
一方で景気の減速懸念も
ただし、物価の上昇とともに最近声が大きくなってきているのが、景気の減速懸念です。原油の価格やその他の貴金属の価格は、ピークアウトしてきています。企業での在庫がだぶつき始めていると見られているのです。
景気が減速すれば、人々のものを買う勢いは失われ、物価の下落要因になります。また、企業の業績は悪化し、給与が下がる要因にもなるでしょう。金利を上昇させ過ぎることで、景気の減速を招くのであれば、利上げスピードを早め過ぎることに対して米国の金融当局は躊躇するのではなか、という予想もあるのです。
インフレ退治と、景気後退リスクの回避という難しい舵取りを、FRBは求められていることになります。
米国の株価の動きは
こうした状況を受けて、米国の主要な株価指数は、
S&P500 -0.5%
NYダウ -0.7%
ナスダック総合指数 -0.2%
とすべて下げました。ここから見えるのが、市場全体としては、利上げのリスクよりも景気の後退リスクの方にセンシティブになっているのでは、というところです。
利上げの影響を最も受けるのは、ハイテク銘柄、グロース銘柄が多く含まれるナスダックです。しかし、下げ幅の多いのはバリュー株や成熟株の割合が比較的大きなNYダウとなっています。
景気や業績の影響を受けやすい銘柄の方が下がっている傾向があるということは、市場参加者の心理が利上げリスクよりも景気後退リスクの方に目が向いているのかな、といった印象を受けました。
あくまでも消費者物価指数が発表された1日の値動きなので、これだけだと何とも言えませんが、米国の景気後退が始まると今までのようなドル高も続かないかもしれません。
為替も含めて引き続き市場の動向をチェックしていきたいと思います。