株式会社AWARDの渡邉です。
本日2022年5月6日は日本では連休明けとなりますが、世界では連休中にも色々と動きがありました。その中でも特に大きな動きがあったのが、米国のFOMCです。利上げ幅やコメントなど注目されていましたが、結果はどのようなものだったのでしょうか。
5月3-4日FOMCまとめ
5月のFOMCでは下記のようなことが発表されました。
・0.5%の利上げ
・6月より月950億ドルの資産圧縮(QT)開始
・パウエルFRB議長、0.75%利上げに慎重姿勢
通常、FOMCでの利上げは0.25%ずつ行われますが、3月からの利上げは1度に0.5%ずつとハイペースになっています。これは米国で起きている急激なインフレを抑え込むために、金融引き締めをスピーディーに進める必要があると判断されているからです。
またFRBによる資産購入を減らしていくテーパリングから、FRBが保有資産を売却していくQTに6月より移行していくことも発表されました。こちらも市場からドルが減ることになるため、市場の過熱感を冷ます効果があります。
こうした利上げとQTに関しては事前に予想された内容通りでしたが、一度に0.75%の利上げもあり得るし、今後も検討されるのではという市場の予想に対しては、パウエルFRB議長により『積極的には議論していない』との発言があり、やんわりと否定された形になっています。
FOMC後の市場の動き
こうしたFOMCでの発表を受けて、米国な株価指数は軒並み上昇しました。5月4日は、
NYダウ:+2.81%
NASDAQ:+3.19%
S&P500:+2.99%
と1日で株価指数が動きました。これはパウエル議長の発言がハト派と受け止められ、会見中に株高が進んだからとなります。
しかし、FOMCの翌日である5月6日には、FOMCで上昇した分をすべて戻す株価の下落が起こりました。高いインフレについて、結局+0.75%ずつの利上げが必要な状態になるだろうという見方が広がったようです。5月5日の株価指数は、
NYダウ:-3.12%
NASDAQ:-4.99%
S&P500:-3.56%
となっています。5月4日の上昇分は1日にして帳消しとなった格好です。
今後の展開は?
今後の展開については、不確実性に注意が必要です。パウエル議長の発言としても、
・インフレにさらなるサプライズが起こる可能性もある
・60-90日前に政策運営の方針を示すのは非常に難しい環境
・データをみて、その都度判断する余地を残している
といった趣旨のものがありました。現在の見通しのインフレや経済情勢が続いた場合には、+0.5%ずつの利上げが今後のFOMCでは決定されていくことになるでしょう。しかし、さらなるインフレが起きたり、明らかな経済の停滞傾向が見えてきた場合には、金利の上昇スピードは調整されることになるでしょう。
将来の見通しが立てにくい状況ですが、米国の利上げは日本にとってはドル高円安の直接的な要因です。なにもしないのではなく、状況を追いながら環境に適応していく意識が大切かと思います。