株式会社AWARDの渡邉です。
テスラ、スペースXの創業者であるイーロン・マスク氏の買収提案を、Twitter社が受け入れたとのことです。
買収に使われる金額は、約440億ドル。現在1ドル=約128円ですから、日本円にして5兆6300億円もの超巨大な買収劇になります。
マスク氏の買収により、Twitter社がどう変わっていくのか、マスク氏のコメントについて見ていきましょう。
上場企業から非公開企業へ
まず、マスク氏がTwitter社の株式を取得することで、Twitter社はマスク氏個人が保有する巨大なSNSになります。
Twitter社は2020年の米国の大統領選後に、ドナルド・トランプ氏の使用を停止しました。トランプ氏がTwitterを活用しながら情報発信をしていたことを考えると、大きな事件だったかと思います。
「言論の自由は民主主義が機能するための基盤であり、Twitterは人類の未来にとって不可欠な事柄が議論されるデジタルな街の広場です」とマスク氏はコメントしています。
公開会社であることによって言論の自由が妨げられることがある、だからこそ自分がTwitter社の株式を取得することで、より良い言論のプラットフォームにする、というのがマスク氏の主張と言えます。一方で、Twitterがマスク氏個人にとって都合の良い巨大メディアになる、という懸念ももちろん考えられるでしょう。
経営陣と株主は提案を受け入れ
当初、マスク氏の買収提案に対してTwitterの経営陣は受け入れない姿勢を示していました。Twitter社が検討していた対抗策としてポイズン・ピルと呼ばれる方法があります。これは個人やグループが発行済み普通株式の15%以上を取得した場合に、他の株主に対して株式を割引価格で発行することを認めるものです。株式の希釈化が起こりますが、買収を防ぐ効果が望めます。
しかし、最終的にはTwitterの経営陣と株主は、マスク氏の提案を受け入れることになりました。マスク氏の提案したTwitter社の株式の1株当たりの買取価格は54.20ドル。これはマスク氏がTwitterの株式を大量に保有していることを発表する前日の2022年4月1日の株価からすると、38%上回る価格です。株主にとっては、悪くない提案でもあったわけですね。
マスク氏はどこでお金を手に入れた?
さて、こうしたTwitter社の買収にあたって、マスク氏は大量の資金が必要です。2022年のフォーブスの世界長者番付で1位であるマスク氏ですが、資産の大半はテスラとスペースXの株式となります。株式は市場で売れば現金化できますが、大量の売却は株価の暴落を引き起こすので難しいと言えます。
今回マスク氏は資金調達の問題を銀行等とのやり取りで解決し、金融機関から465億ドルの融資の確約を取り付けていた旨を証券取引委員会に書面で提出したとのことです。
関わっている金融機関は、モルガンスタンレー、バンクオブアメリカ、バークレイズ、MUFG、ソシエテジェネラル、みずほ銀行、BNPパリバ等々、そうそうたる顔ぶれです。日本の金融機関も今回の買収劇には一枚噛んでいるわけですね。
Twitter社の非公開化は、2022年中に完了する予定とのこと。TwitterというSNSがどう変わっていくのか、そしてイーロン・マスク氏の今後から目を離せません。