ウクライナ情勢とインフレ

海外

株式会社AWARDの渡邉です。

ウクライナ情勢が緊張感を増しています。2022年2月12日には米国のバイデン大統領とロシアのプーチン大統領の電話会談が行われましたが、事態の進展は見られていないとのことです。

戦争にも繋がりかねない現在の状況ですが、今後起こり得ることについて押さえておきましょう。

ロシアの思惑


現在ロシアはウクライナに対する軍事行動の可能性を高めていると伝えられています。ロシアが強く求めているのは、北大西洋条約機構(NATO)の不拡大です。ウクライナは旧ソ連の国の一つとなりますが、NATOへの加盟は西側諸国の一員となることを示すため、ロシアとしては安全保障上で問題があると考えているわけです。その他のロシアの主な要求は、

・1997年以降に加盟した国から部隊や兵器を撤去すること

・ウクライナに攻撃的ミサイルを置かないこと

といった点が挙げられます。

一方で米国側はウクライナにロシアが進行すれば、「深刻な代償」をロシアが支払うことになる、と警告しています。ロシアがウクライナに進行すれば、西側諸国による経済制裁がロシアに対して課されることは間違いないでしょう。ロシアは現在経済的に疲弊しているため、経済制裁がロシアをさらに苦しめることになるのは間違いありません。

インフレの悪化も


ロシアの軍事進攻が仮に起これば、米国・ロシアともに大きな影響があると考えられます。現在、原油価格の上昇が世界各国でのインフレの一因となっています。ロシアが軍事侵攻を実際に始めた場合、エネルギー大国であるロシアからの世界各国(特にEU)への天然ガス供給が止まることになるでしょう。西側諸国の中でも、ドイツなどはその影響を特に強く受けることになります。

そうすれば、すでに高騰しているエネルギー価格はさらに上昇し、インフレが加速することになると考えられます。また、半導体用の材料の供給に問題が出る可能性が高いともされており、半導体を用いる様々な商品サービスの価格上昇も考えられます。

米国の2022年1月の消費者物価指数は前年同月比+7.5%。歴史的な水準での物価上昇が起きています。ロシアのウクライナ侵攻が実際に起これば、この傾向に拍車がかかるでしょう。

米政権の思惑は?


また、米国の状況として押さえておきたいのは、現在の民主党バイデン政権の支持率は低迷している、という点と、今年が中間選挙の年である、という点です。中間選挙では上院の議席の3分の1(34議席)、および下院の全議席(435議席)が改選されます。

バイデン大統領の支持率は就任以降、ほぼ一貫して低下傾向にありますから、この中間選挙で大きく負けて議会が捻じれると、次の大統領選で共和党への政権交代が起こる可能性も高まります。民主党やバイデン大統領にとっては、それは避けたい気持ちが非常に強いでしょう。

支持率の低迷の要因の一つは、インフレ率の高騰などにありますが、現在のウクライナ情勢を上手く収めることができれば、世論を味方につけバイデン大統領の支持率回復に繋がる可能性もあります。米国の姿勢には、そういった意図も含まれてくるでしょう。

いずれにしても、ウクライナを巡る情勢は緊迫化しています。今後のニュースにも要注意です。


執筆者:渡邉亮

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