株式会社AWARDの渡邉です。
今、経済の流れを読み解くのに重要なワードである『テーパリング』。あまり耳慣れない言葉ですが、いったいどういう意味の言葉なのでしょうか。本日はテーパリングの意味と、なぜテーパリングが経済の流れを読むのに重要なのかについてご紹介します。
テーパリングの意味
テーパリングの意味を理解するには、先に金融政策における緩和策について理解する必要があります。中央銀行による金融緩和策としては主に2つあり、一つが利下げ、そしてもう一つが量的緩和となります。
利下げとは、政策金利を低下させて金融機関、企業や事業体がお金を調達しやすくすることによって、世の中のお金の巡りを良くする政策です。これに対して量的緩和とは、中央銀行が市場にある資産を買い取ることによって世の中に巡るお金の量自体を増やす政策となります。
こうした金融緩和の逆になる政策が、利上げとテーパリングとなります。利下げに対応するのが利上げ、量的緩和に対応するのがテーパリングですね。
テーパリングとは英語で書くとtaperingであり、taperとは先細り、漸減を意味します。量的緩和策による金融資産の買い入れ額を順次減らしていく、という意味で金融用語では使われます。
新型コロナウイルスと金融緩和
最近、米国で利下げと量的緩和が行われたのは、新型コロナウイルスによる市場の混乱期でした。2020年3月に2度の利下げを行い政策金利を1.5%ほど下げました。また、量的緩和としては、米国債を月800億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)を月400億ドル購入しています。
コロナに対抗するための金融政策としてこれらの手段を講じてきたFRB(米国連邦準備制度理事会)ですが、最近になって金融緩和の出口を探り始めています。
昨日は、7月に行われたFOMC(連邦公開市場委員会)の議事要旨が公開されましたが、テーパリングについて年内に決まる可能性が示唆されています。
テーパリングが始まれば世の中のお金(米ドル)の総量は減っていくことになりますから、株価にとっては下落の圧力となります。ちなみに昨日の議事要旨の発表で、米国の株価は1%前後下落しています。
注目のイベントは?
年内にテーパリングが始まる場合、最短で9月21-22日にかけて行われるFOMCで発表されると考えられます。また来週8月26-28日ワイオミング州ジャクソンホールで開催される経済シンポジウムでの講演で、パウエルFRB議長がテーパリングに向けた情報を提供する可能性があります。
テーパリングの開始は経済の流れを大きく変えるきっかけになり得るので、このあたりのイベントから出てくる情報に関しては注目しておきましょう。