株式会社AWARDの渡邉です。
先週のFOMC(連邦公開市場委員会)以来、不安定な相場が続いていた株式市場。日経の暴落とそこからの急激な戻しなどもなかなかのスピード感だったかと思います。
そんな不安定な状態の中、昨日(日本時間の本日未明)は米国のFRB(米連邦準備理事会)の議長を務めるパウエル氏の発言があるということで、その内容が注目されていました。
FOMCはタカ派寄りだったが
6月15、16日に行われたFOMCでは、
・2023年末までに利上げが行われる可能性が高くなった
・テーパリング(資産購入の縮小)について考慮していることが示された
という2点が特に注目されました。この2点は新型コロナウイルスの出現以降続いてきた金融緩和から、金融を引き締める方向にFOMCが舵を切ってきた印象を市場に与えました。
緩和寄りの方向が変換するのは市場にとってはサプライズであり、為替等にかなり大きな影響を受けました。そんな中でFRBの議長を務めるパウエル氏が議会でどのような発言を行うかについての注目が高まっていたわけです。
市場に優しい発言内容
結果、議会でのパウエル氏の発言は市場にとって優しい内容で、急激な利上げやテーパリングを行うことを示唆するものではありませんでした。
内容をまとめると、
・インフレが一時的である可能性を強調
・早期利上げを惹起させる発言はなし
・2021年後半の雇用回復への自信を強調
といったものになります。一つ一つの内容に意味があり、最近の米国のインフレ率(物価上昇率)や失業率を、FOMCのに参加しているメンバーの予想と比較すると、
『インフレ率は高く、失業率は高い』
という状況になっています。パウエル議長の発言の意図としては、この状況が今後FOMCのメンバーが考えていく方向に向かっていくと市場に発信したい、ということだと推察できます。
インフレ率が高い⇒金融引き締めをして物価上昇を抑えた方が良い
失業率が高い⇒金融緩和をして雇用の回復を図った方が良い
という考えが成り立つので、今の方針が正しく急激な政策変更の必要はない、ということを議会発言では伝えようとしたのでしょう。
ナスダックは史上最高値を更新
この議会発言は市場を安心させるのには十分な効果があったようです。米国の主要な3つの株価指数である、NYダウ、S&P500、ナスダックはすべて上昇しました。特にナスダックは史上最高値を更新しています。
FOMCで市場全体に緊張感が走りましたが、すこし和らいではきている感じですね。とは言ってもFOMCの結果として出てきた情報は市場との対話の一つであり、これから利上げやテーパリングについて検討されていくのは間違いありませんし、経済指標の行方次第ではそのスピードが早まることもあるでしょう。
経済で世界を引っ張る米国の金融政策には引き続き要注目です。