伝説の投資家 ジョージ・ソロス 【運用】

海外

株式会社AWARDの會田です。皆さんは伝説の投資家である ジョージ・ソロス 氏をご存知でしょうか?世界三大投資家のひとりとして知られており、総資産は2兆円を超えるという方です。そんなジョージ・ソロス氏が世界経済に暗い見通しを持っており、大口の弱気なトレードの指示を行っているという情報が大手の海外メディアによって報じられています。御歳85歳のソロス氏ですが、過去の経済のうねりの中で大きな資産を築いてきた方ですのでこういった情報は気になりますね。

さてソロス氏と言えば、『イングランド銀行を負かした男』という異名が有名です。これは1992年に欧州諸国が通貨を統合するために、お互いの通貨が一定の範囲で変動する仕組みを導入していた時の出来事になります。それまでは各々の国々が別の通貨を変動相場制の中で使っていたのですが、ユーロを共通の通貨として導入していくためにこのような仕組みをとっていたのですね。しかし、この仕組みの中で弱い通貨と強い通貨がある事に目を付けたソロス氏はここを投資機会として考えました。

イギリスの通貨であったポンドがその仕組みの中では弱いと考え、通貨を大きく売り浴びせることで大きな金額を稼ぐ事を目論んだソロス氏は、当時の金額でポンドを100億ドル相当売り浴びせたと言われています。そのような事態ではイギリスの政府や中央銀行も黙ってはいられません。イングランド銀行はソロス氏が中心となったその売り浴びせに対して、為替介入としてポンド買いを実施します。しかし、ソロス氏に追随した他のヘッジ・ファンドの加勢も加わりポンド売りの勢いは止まらず、ついにイングランド銀行の介入資金も底をつきポンドの価値は大暴落しました。この際にソロス氏は数10億ドルの利益を上げたと言われています。

皆さんはヨーロッパの主要国の中でイギリスだけユーロでなくポンドを使っていることに疑問を持ったことはないでしょうか?実はこの時にソロス氏がポンドを大暴落させたことにより、イギリスはユーロという統合通貨を導入することができなかった、というのも理由になっているのです。ソロス氏のポンド売りがイギリスという国の歴史を変えてしまったと言っても過言ではないということになります。改めて考えると途轍もない投資家ですよね。

そのような歴史も振り返ると、23日のイギリス国民投票が控えるこのタイミングでソロス氏のニュースが出てくるというのは不思議な気分になります。世界経済が危機に陥る際の震源地は中国だとソロス氏は発言しているようですが、イギリスの国民投票も結果次第では世界を揺るがす震源地になり得ます。今週の相場は国民投票を睨んで動いていくことになると思われますので、関連したニュースにも是非目を向けてみましょう。


執筆者:會田哲郎

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