株式会社AWARDの渡邉です。3月10日の木曜日に ECB (欧州中央銀行)より、追加の金融緩和策が発表されたことをご存知でしょうか??今回はその内容について書かせて頂きたいと思います。
今回ECBより打ち出された政策は下記のような内容となります。
・政策金利の主要政策金利を0.5%から0%に引き下げ
・ECBへの預金金利をマイナス0.3%からマイナス0.4%に引き下げ
・債券の月間購入額を600億ユーロから800億ユーロ(約10兆円)に増加
・金融機関以外のユーロ建て投資適格社債を買い入れ対象に追加
・4年物のTLTRO(対象を絞った長期資金供給オペ)を新たに開始
となります。日銀がマイナス金利を1月に発表したのも市場には大きな衝撃を与えましたが、今回のECBの決定はまさに政策フル動員といった形になります。この発表を受けて一時期ユーロは大きく下落しました。政策金利の引き下げや、預金金利債券購入によって市場に出回るユーロが増えることになりますので、他の通貨に対してユーロが薄まる結果になるためです。
ただし、一時期大きく上昇したユーロはその後反転して元の水準よりも寧ろユーロ高になりました。これは、ECBのドラギ総裁が記者会見中に、今後の追加利下げの必要性を否定したことが理由と言われています。この発言により、世界中でECBの政策に限界が来たという意識が持たれたため、当初のユーロ安の動きが反転したのでしょう。その後、市場は落ち着きを取り戻している格好となっています。
今回の件も含め、世界中で各中央銀行の政策が限界に達して大きな市場の混乱が起こる時が近いのではないか?というような考え方があるように思います。来週の月曜~水曜にかけては、日銀金融政策決定会合(日本)、FOMC政策金利発表(米国)といった大きな金融イベントが立て続けにありますが、そこで日本と米国がどのような政策を打ち出してくるのかにも要注目ですね。日本市場も徐々に上向きになって来ている様子もありますが、政策次第ではまた大きな動きもあるかもしれません。