株式会社AWARDの渡邉です。2月26日にG20の 財務相中央銀行総裁会議 が中国上海にて始まりました。世界経済が不安定な状態が続く中、各国の財務相と中央銀行の総裁が集まりますのでかなり注目度が高い会議となっております。日本からは麻生財務相と日銀の黒田総裁が参加してらっしゃいます。
初日に出てきたテーマとして大きなものは下記の3点になります。
・新興国からの資金流出への対策
・中国経済の安定化への中国当局の対応
・通貨安競争を行わないことの確認
新興国からの資金流出については、米国の利上げの際からずっと問題となっているテーマです。新興国から先進国への資金の還流が起きることにより、新興国(中国、産油国等)経済が打撃を受け、これが世界経済全体へと悪影響を及ぼすというものです。新興国から昨年流出したお金は7千億ドル(約79兆円)を超えているという国際機関のデータもあります。この資金流出に対して何らかの規制が提案されてくるのかも今回の会議の注目点です。
そして2015年8月、2016年1月と世界経済を混乱させる震源地となっている中国に対しては米国や日本からかなり多くの注文が出されているようです。麻生財務相からは、過剰な生産設備や不良債権を抱えている中国の構造的な問題と人民元の安定化に向けた計画を具体的に示すよう求めたということです。
また通貨安競争を行わないというのも会議後の声明文では盛り込まれそうです。どこかの国が通貨を意図的に安くすると、その国は輸出などで他の国に対して有利な立ち位置になりますが、他の国は逆に不利な状況になる訳です。欧州も日本も金融緩和を行っておりますが、これは通貨安への誘導ではなく経済対策の一環であるという立場になります。実質的には通貨が安くなる方向に為替が動くので、大義名分がどこにあるのかという話にはなってしまうかと思われますが、際限なく通貨の価値を落とすようなことは各国とも自制しましょう、といった内容で声明文が出てくるのではないでしょうか。
今回の会議の声明文は2月27日の夜には発表される予定です。次回のコラムで実際の内容も紹介したいと思います。内容次第では市場や為替への影響も大きそうです。