株式会社AWARDの渡邉です。
本日は北朝鮮が水爆実験をしたことにより、大幅な株安円高になっています。中国、中東に加えて北朝鮮までリスク要因となってきたということで市場が揺れていますね。
さて、本日はリスクが高まった際になぜ円が買われるのかについて解説していきます。日本経済が調子の良い時ほど円安が進み、株価が下落しているときほど円高が進む傾向があります。実際本日も北朝鮮からの揺れが観測されると、株価は下がったのに対し為替は円高方向に動き1ドル118円台になりました。
なぜリスクが高まると円高が進むのか?
それは日本が経済的に安全な国だと考えられている、というのが一つの原因となります。
日本の経常収支は1981年以降赤字になったことがありません。対外的にはお金を稼ぎ続けている国ということですね(政府・自治体の抱える借金は相当な額に上っていますが、それらの債券はほぼ国内で消費されています)。そのため、世界でリスクが高まると安全な通貨として円が買われ円高が進むことになります。
しかし、北朝鮮のように近くの国で核実験があっても、日本で震災があった際にもなぜか円は買われる事が多いです。普通は近隣で紛争があるとその国の通貨は売られることが多いですし、震災があった場合も同様です。日本特有のこの傾向はリパトリエーションと投機筋の円買いが関わっていると言われています。
リパトリエーションは「本国送還」という意味を持つ単語で、マーケット用語では「海外の資産を本国へと戻す」という意味です。企業や投資家などが、海外に持つ株や債券を売り日本円へと変換することだと考えてください。
さて、日本の中でも特に巨大な機関投資家というと保険会社があります。では保険会社がリパトリエーションをする時とは、どのような場合か??それは保険金の支払いが発生する時になります。震災等の際には保険金の支払いが発生する可能性が高いので、保険会社が外貨資産を日本円に変換するのでは、ということですね。(震災の場合は保険会社の免責項目である事が多いですが、東日本大震災などでは例外として保険金支払いが行われました)
そして、リパトリエーションが起きると予測した投機筋が円を買うという連鎖が起きることで円高が進みます。為替の市場では8割程度が投機筋の資金とも言われており、ここが動くと市場への影響が出てきます。このように一つの要因だけでなく、いくつもの要因が複雑に重なり合い『リスクが高まった際に円高が進む』という現象が起きる訳ですね。
為替は様々な企業の経済活動にも深く関わる因子です。日本で暮らしているとすぐに変化を感じることはありませんが、こういった知識も持っていると役立つことがあるのではないでしょうか。