富裕層への増税

税金

株式会社AWARDの渡邉です。

現在、富裕層への増税が議論されているのをご存じでしょうか?

税金というのは富の再分配の機能を担っていますが、富裕層への課税を強化することで現在生じている状況を変えようという動きがあります。

1.1億円の壁

2.考えられる富裕層への課税は

3.懸念すべきこと

という流れでご紹介させていただきます。

1.1億円の壁


富裕層への課税が議論されるようになった理由に、税負担に関して1億円の壁がある、と言われてきたことがあります。

財務省が示している所得税と社会保険料の負担率のデータがあります。

それによると、所得5千万超~1億円の層は28.7%と負担率が最も高いのですが、所得5億超~10億円は21.5%、50億超~100億円では17.2%となり、300万~400万円の17.9%より低くなるというのがあります。

統計上は1億円を境に税金等の負担率が低下するのです。こちらを財務省は「1億円の壁」と表現しています。税金が持つ富の再分配の機能を踏まえると、富裕層に対して負担率が逆転しているのは良くない、という考え方があるわけです。

2.考えられる富裕層への課税は


こうした状況に対して、現在富裕層への課税の強化が検討されているとのことです。

・合計の所得額に一定の課税をする

・株の売却益が多い5億円超を対象にする

・10億円超を対象にする

など様々な案が出ているようですが、来年以降の税制の改正に向けて議論が進めてられいます。

根本的に1億円の壁が存在する理由としては、株式の売買益に対しては20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、地方税5%)で一律の税率が適用されているのが大きな要因になっています。海外に例があるように、株式の利益に対して累進課税にする、といったことでも1億円の壁を取り除くことは可能かと思います。

3.懸念すべきこと


ただし、富裕層への課税を強化する、というのは、富裕層が海外などに出て行ってしまうきっかけを与えてしまうことでもあります。日本は元々超富裕層が生まれにくい環境です。

富裕層は資産があることにより、海外への移住などの選択肢も持っている方が多いです。課税の強化により日本が住みにくい国になってしまったら、日本で仕事をして富を築いた優秀な人材が海外へと流出してしまう可能性もあります。

香港などでは課税の強化ではなく、政治的な理由が大きいですが、人材が海外に流出して株価が大きく低下したりといったことが、ここ1年ほどで起きました。

人材が流出しないような制度作りも国には意識していただきたいところです。

まとめ


富裕層に対する課税の強化について、現在出てきている情報についてまとめてみました。

富の再分配は良いですが、人材の流出という点も考慮しないと日本の国力低下にもつながる、というのは意識として持っていても良いでしょう。

日本は今後も税の負担は増えていく国です。税金とはうまく付き合えるように、個々人でできる工夫や対策をしていきましょう。


執筆者:渡邉亮

こちらのコラムは日々金融情報に触れて頂きたいという想いから継続して配信しています。あなたにとって大切な方にぜひご紹介ください。

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