株式会社AWARDの渡邉です。
生前贈与を利用した相続税対策にメスが入ることになります。
前々からルールの改正についての話はありましたが、ついに今月発表される2023年度の税制改正大綱に盛り込まれることになるとのことです。
1.生前贈与を活用した相続税対策とは?
2.税制改正でなにが変わる?
3.わたしたちにできること
といった流れでご紹介させていただきます。
1.生前贈与を活用した相続税対策とは?
そもそも税制改正の内容を理解する上では、生前贈与を活用した相続税対策について知っておく必要があります。
相続税というのは、多くの資産を相続で引き継いだ場合にかかってくる税金となります。相続税の基礎控除として、
3000万円+600万円×法定相続人の数
というルールがありますので、例えば奥様とお子さんが2人が法定相続人である方の相続では、
3000万円+600万円×3人=4800万円
が基礎控除となり、それ以上の資産をお持ちの方の相続の場合は、資産を受け継いだ方が相続税を支払うことになります。
つまり、相続税対策としては、相続が発生する前に将来資産を引き継ぐ方に資産を移しておくことが有効なのです。
その手段として、相続税よりも低い税率で移せる範囲で、毎年の贈与により資産をあらかじめ移動しておく、というのが相続税対策の王道の一つとされていました。
2.税制改正でなにが変わる?
今回、税制改正でメスが入ると噂されているのは、ある条件を満たした生前贈与分に関しては、相続税の対象とする、という「持ち戻し」の部分になります。
もともと、亡くなる直前の贈与で相続税から逃れることを防ぐため、相続開始から見て3年以内の贈与については、相続財産に加算して相続税を課税する「持ち戻し」という制度がありました。
このルールは1958年度の制度改正で作られたものです。
今回の改正では、この持ち戻しの期間が、
『相続開始から3年以内』
から
『相続開始から7年以内』
に見直しされる方針とのことです。持ち戻しの期間が、4年間延長されることになる、ということですね。これにより、相続開始までの期間が短い状況では、生前贈与による相続税対策が使えなくなることになります。
3.わたしたちにできること
では、今回の改正方針を受けて、わたしたちはどのような対策を取れば良いでしょうか?
まず生前贈与を活用した相続税対策をするのであれば、かなり早い段階から手をつける必要が出てきた、と言えます。
相続開始の5年前からの準備であれば、ルール変更後には一切の生前贈与を活用した対策ができませんが、相続開始の15年前からの準備であれば、7年を除いた8年間の生前贈与に関しては相続税対策となります。生前贈与による相続税対策を行いたい方は、ぜひ早めから準備を開始するようにしましょう。
もう一つは、生前贈与以外の対策を考えることです。相続税の対策方法としては、生前贈与以外にも色々と方法があります。生命保険や不動産を活用した対策など、取れる手段は他にも残されています。できるだけスムーズに資産を受け継いでいけるように、生前贈与に限らず様々な手段を検討するのが良いでしょう。
相続に関しても、お気軽にご相談いただければと思います。税理士さんを始めとする各種士業の方と連携して可能な対策を進めさせていただきます。