厚生年金の財源が国民年金へ?

年金

株式会社AWARDの渡邉です。

皆さん公的年金への加入はしてらっしゃるでしょうか。日本では20歳になるとすべての方が国民年金に加入することが義務付けられているため、基本的にすべての方は公的年金制度に加入してらっしゃると言えます。

さて、そんな公的年金ですが、大きく分けると自営業の方などが入る国民年金と、会社員の方が入る厚生年金にわかれています。この2つは別の制度にわかれていますが、最近厚生労働大臣が厚生年金の財源を国民年金に流用するといった趣旨の発言をしました。この発言のぜひについて本日は考えてみたいと思います。

すでに半分税金の国民年金


年金制度というのは、すでに大幅に赤字な制度です。2019(令和元)年公的年金財政検証の資料によると、平成31年度の予算ベースで、

公的年金の保険料収入:38.9兆円

公的年金の給付額:55.1兆円

となっています。戦後に作られた制度で現在のような少子高齢化が前提になっていないことから、保険料収入だけでは給付額をまったく賄えない状態が続いている、ということですね。

こうした持続可能性に疑問符がつく年金制度ですが、なんとか長期的に制度を維持するために過去には様々な制度変更が行われてきました。

・年金保険料の値上げ

・積立金の運用方法の変更

・国庫負担割合の引き上げ

などです。最後にある国庫負担割合の引き上げ、というのは非常に大きな変更で2009年に行われています。簡単に言えば、この制度変更により国民年金は2分の1を税金により賄うことができるようになったということになります。

会社員の負担が増大


さて、そんな国民年金ですが、厚生年金に比べると支給額は非常に低くなっています。これはそもそも保険料の負担が少ないからなのですが、支給実績の平均を見ると月々6万円に満たない数字になっています。これだけで生活をするのは難しいですよね。

一方で厚生年金の支給実績の平均を見ると、月々15万円弱になっています。会社員の方は、報酬に応じて保険料が上がる仕組みになっており、多く保険料を納めている分だけ年金の支給額は上がります。

現在、厚生年金保険料は月々の報酬(標準報酬月額)の 18.3%(労使折半)を納めることになっています。収入が大きい方ほど保険料の負担が大きくなるため、貰える年金も大きくなるのは当然と考える方が多いのではないでしょうか。

今回の厚生労働大臣の発言は、大きな負担をしている会社員の方の気持ちを考えると、なかなか踏み込んだものに感じます。

会社が払った保険料は?


ちなみに厚生年金の保険料に関しては労使折半であり、給料から引かれる部分と会社が支払う部分が半々になっています。つまり、18.3%のうち、半分は会社が払ってくれている、ということになるわけです。

しかし、私たちの手元に届く年金定期便には、会社が払ってくれている年金保険料については記載がされていません。厚生年金は労使で支払う保険料に対して、もらえる額は少なくなることがほぼ決まっているため、本人負担分のみを記載することで批判をかわす狙いがあるのかもしれません。

会社員の方の場合は厚生年金の支払いから逃れる術はありません。強制的に徴収される厚生年金が国民年金に流用されていく。個人的にはかなり不公平感を感じるのですが、これが本当に国民の理解を得られるのか、今後の展開には注目していきたいと思います。


執筆者:渡邉亮

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