株式会社AWARDです。
年金の5年に1度の財政検証結果が発表されました。わたしたちの年金は今後どうなるのでしょうか。検証結果をみながら将来を予測してみましょう。
所得代替率とは?
どのくらい年金を貰えるかを測る基準として『所得代替率』というものがあります。こちらは、年金を受け取り始める時点における年金額が、現役世代の手取り収入額と比較してどのくらいの割合かを示すものです。 たとえば、所得代替率50%の場合は、そのときの現役世代の手取り収入の50%を年金として受け取れるということになります。
こちらの所得代替率が、今回の財政検証結果では5年前からやや低下して61.7%となっています。5年前は62.7%でしたから5年間で1%低下したことになります。なお所得代替率は、実質賃金の伸びが1%以下の状況が続くと2050年代には40%台まで低下することが今回の財政検証結果で示されています。
最悪のパターンを知ろう
今回の財政検証結果では、将来の見通しがかなり具体的に示されています。年金が減っていくことは誰しもが予想していることではありますが、経済成長と労働参加が進み、実質賃金が毎年1%超伸びるケースでも、2040年代後半には、所得代替率は50.8~51.9%に低下するとのことです。低成長で労働参加も進まず、実質賃金上昇率も1%以下のケースでは、2050年代に所得代替率は40%台まで低下してしまうことになっています。
そして最悪のパターンも財政検証では試算されています。2029年度以降、実質経済成長率がマイナス0.5%という状況が20~30年間続いた場合は、2043年度に所得代替率が50%まで低下します。その後、2052年度には年金の積立金がなくなり完全な賦課方式(現役世代から徴収した保険料がそのまま受給者に給付される方式)に移行し、保険料と国庫負担で賄うことのできる給付水準は所得代替率38%~36%程度に低下するとのことです。
この試算をみると、すくなくとも30年後くらいには年金は20~25%が減り、悪い場合には40%程度減ってしまうことが見越されていると考えれば良いのではないでしょうか。
公表された結果をどう捉えるか
将来のことは現実として目の前に来るまで実感が湧かない、という方は多いかと思います。しかし、少なくとも国が発表しているデータとして年金がこのままでは相当程度減ってしまうことは明らかになっているわけです。それに備えてどのような行動を起こすかによって、だいぶ将来の生活は変わってくるのではないでしょうか。
ちなみにこの試算は平均的な厚生年金をもらう夫、国民年金をもらう妻が世帯にいるという前提で出されたものです。国民年金のみに加入している方などは、さらに真剣に将来のことを考えていく必要があるかもしれませんね。年金制度も今後改革が進むでしょうが、いずれにせよ上記のような前提から議論がスタートしますので、今よりは厳しい制度に変わっていくことと思います。ぜひ自分の身は自分で守るという意識を持って将来に向けての資産形成に取り組んでみてください。