GPIF の評価損 5.5兆円 【年金】

年金

株式会社AWARDの渡邉です。ここ数日また日経平均株価が大きく下落しています。日銀短観による経済の見通しの悪化、原油価格の下落、円高等が主な要因となっているようです。

そんな中で、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が2015年度の運用で5.5兆円前後の評価損を被ったという試算が民間の金融機関から出てきました。2016年の1~3月期でも約5兆円の損失であったという試算も合わせて出てきております。

GPIFは厚生年金と国民年金の運用資産140兆円を抱える世界最大級の年金基金です。日本の年金の元となる資金を運用によって殖やしていくことが責務となっています。以前はその資金のほとんどが国債で運用されていましたが、現在は日本株、外国株、外国債券の割合が増やされております。8月のチャイナショック、そして新年からの世界同時株安によってリスク資産の割合が増えていたGPIFは大きな損失を被ることになったと言えるでしょう。

GPIFに関しては運用の失敗ばかりが取り沙汰されることが多いのですが、これだけリスクを取って運用しなければ持続性を保てない年金制度自体に大きな問題があると考えています。GPIFが設定しているポートフォリオ(資産配分)はリスクを取って資産を成長させると考えた場合ではごくごく一般的なものです。運用でお金を殖やさなければ年金の資金が早い段階で底をつくのが見えてるからこそのポートフォリオですので、こういった事態があるのは已むを得ないことでしょう。寧ろ社会保障と税の一体改革で年金制度自体を変えていかなければいけないところに来ているのだと思われます。

さてこのGPIFの運用実績ですが、15年度分と1-3月期の分は7月29日に公表されるとのことですが、これは例年より遅い日程となっています。一方、国内メディアによると参院選は7月10日か24日の可能性が高いと言われており、悪い運用成績の公表は選挙後に先延ばしにする、という構図に見えなくもありません。GPIF側では選挙とは全く関係ない、と言っておりますが、実際のところはどうなんでしょうか。そんなことも考えていきたいものです。


執筆者:渡邉亮

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