預金封鎖と新円切替【歴史】
2016.8.2

株式会社AWARDの渡邉です。前回はアルゼンチンのデフォルトで何が起こったかについて紹介させて頂きました。通貨の価値が10分の1になるという衝撃。しかし日本も過去に通貨の価値が大幅に減る体験をしています。時は半世紀以上前、戦後までさかのぼります。

日本で行われたのは預金封鎖新円切替です。昭和21年2月17日、突然政府がすべての銀行を封鎖し預金の引き出しに対する制限を設けました。これが預金封鎖になります。そしてそれまで流通していた古い紙幣の使用が禁止され、旧紙幣に印紙を貼った新円だけが使用できることになりました。これが新円切替と呼ばれるものです。旧紙幣の預金を持っていた場合、その預金は封鎖されてしまい価値を失ってしまいました。許されたのは世帯主が300円、家族が100円という限られたお金の出金のみです。こうして日本国民は政府が決めた額のお金しか所有することが許されない状況となりました。

なぜこのような強引な政策が行われたのでしょう?その理由は主に3つ考えられます。

・太平洋戦争で積み上がった政府借金の帳消し
・戦後復興予算の捻出
・所得格差の是正

です。戦後の日本は物資が不足し悪性のインフレが生じていました。さらに政府自体も戦争を継続するために重ねた天文学的な借金があったために身動きが取れない状況でした。そこで国民の財産を没収し、インフレを抑制するとともに政府の借金をチャラにするためにこのような手段を使ったのです。

当時の政府にお金を貸していたのは国民でした。これは現在と同様になります。国民に軍事債と呼ばれる国債を買ってもらうことで政府は戦争のための予算を作っていました。そして、この国債が償還されていくタイミングで新円切替を実施し、古い円で発行した国債分の借金を一気に踏み倒したということです。さらに新円に対する引き出し制限をかけることで所有する財産を平均化し、所得格差の是正も同時に行うことになりました。

新円切替によって発行した国債を償還しなかったことになるので、事実上のデフォルトですよね。時代を遡れば私たちが住む日本でさえ、こうした政策を実行した過去があるということです。さて預金、保険、年金といった安全資産は日本の国債を使って運用しています。本当にこれらの資産だけを持っているのは安全なのでしょうか。リスクを取らないリスクについて今一度考えてみてください。

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