株式会社AWARDの會田です。最近良く聞く言葉に『ヘリコプターマネー』といったものがあります。決して良い語感ではありませんが、日本銀行の政策に手詰まり感も出てきている中、今後検討される可能性があるのではないかと話題になっているものです。
ヘリコプターマネーとは、中央銀行が市中へと貨幣を大量供給する政策です。米国の経済学者であるフリードマン氏が1960年代に提唱した政策となっており、昔から知られている政策であると言えます。実際の方法のひとつとしては、政府が発行した国債を中央銀行が直接引き受けるといったものがあります。すると国債という国の借金を中央銀行が肩代わりしてくれることになるため、政府は調達した資金を使って公共事業を行うなどの経済を刺激する政策を打てることになります。
ただしこの政府が発行した国債を中央銀行が直接引き受けるというのは財政ファイナンスとも呼ばれ禁断の手段であるとされています。なぜならば、国としての財政規律が失われてしまうためです。国がいくら借金をしても日銀が引き受けるということになれば、日本の円の信用は落ち、悪性のインフレが引き起こされる可能性が高まります。そうなれば日本の円の価値が落ちてしまうため輸入なども困難になり、日本の経済も大きな打撃を受けることになるでしょう。実際には財政ファイナンスは法律で禁じられているため、すぐに実行されることはないと言えます。
他の手法としてうわさがあるものに、日銀が市場から大量に購入している国債が満期を迎えた際に、政府が新たに発行する無利子・償還期限なしの「永久国債」と交換するといったものがあります。永久国債に交換することで政府は日銀に利息も元本も払わなくていいという理論です。利息も元本も払わないことで財政負担が減るということのようですが、これも財政規律といった観点からすると実現は困難でしょう。ただ、現在でも市場に出回っている国債を日銀が大量に購入しているので、その時点で事実上のヘリコプターマネーではないかという指摘もあるようです。ただこの政策に関していえば他の国も多かれ少なかれやってはいます。
今のところ日銀の黒田総裁はヘリコプターマネーには否定的なようです。が、マイナス金利政策ももともと否定していた中、今年の1月に実施する方向へと舵を切ったわけですので今後もサプライズが出てこないとも限りません。今月は28、29日に日銀の金融政策決定会合があります。なんらかの追加の政策が発表される可能性もありそうですので注目していきたいですね。