株式会社AWARDの渡邉です。
小池百合子東京都知事が、少子化対策として18歳までの子どもに月5,000円程度の給付を行う考えを明らかにし大きな話題になりました。
また、岸田文雄首相も年頭会見で「異次元の少子化対策に挑戦する」と表明しています。
こうした少子化対策の声が高まってきたのは一体どのような理由があるのでしょうか。
1.日本の出生数の推移
2.東京都と国の方針
3.出生数の改善への課題
といった流れでご紹介させていただきます。
1.日本の出生数の推移
日本の出生数の推移を見るのは、このようなグラフが分かりやすいかと思います。
日本の出生数は、過去最も多いときで1年間で約270万人でした。これは戦後の1949年のことです。その後、年間の出生数は100万人台になっていましたが、1971~1974年に200万人台を一時的に回復し、また1975年からは100万人台となっていました。
そこからは一貫して出生数は減少傾向にあり、
1984年 150万人割れ
2015年 100万人割れ
2019年 90万人割れ
となっています。そして、昨年の10月までの統計によると、2022年の出生数は70万人台となり、80万人を割り込むことになるのが、ほぼ確定しました。
国立社会保障・人口問題研究所が2017年に公表した予測では、出生数が80万人を下回るのは8年後の2030年となっていましたので、少子化が想定を8年も上回るペースで進んでいることになります。
2.東京都と国の方針
こういた状況を受けて、小池東京都知事や、岸田首相が少子化対策に向けた発言してきたことになります。現在の少子化の原因の一つが子育て世代の経済状況にあり、そこを改善することが少しでも出生数の向上につながるのではないか、という考え方です。
国が元々やっている児童手当は、所得制限がつき、現在は高年収の世帯は児童手当が減ったり、支給停止となる仕組みになっています。今回、小池東京都知事が打ち出した案では、東京都の0~18歳までの都民に5,000円を親の所得制限なしで給付するとのことです。所得制限なしでの自治体による給付は珍しいです。
東京都が率先して子育て対策の施策を実施してくれるのは、全国的な動きの後押しになる可能性も高いのでとても期待できそうです。
岸田首相の年頭会見では、6月までに「将来的な子ども予算倍増に向けた大枠」を提示すると述べてますので、国としての動きもここ半年ほどで見えてくると考えられます。
3.出生数の改善への課題
さて、こうした施策は非常に重要ですし、出生数の改善には後押しになるでしょうが、それだけで問題が解決するわけではもちろんありません。
・そもそも日本では若い世代の人口が減っている
・未婚率も急上昇している
といった課題もあるので、様々な角度からの対策を講じなければ、状況の改善にまで持っていくのは簡単ではないでしょう。
子供1人あたり5,000円が月々給付されるのはありがたいが、それでもう一人の子どもをとまでは思えない、といったリアルな声もSNSでは見かけました。
少子化対策に関しては相当に追い込まれているのが日本の現状ですので、困難なのは間違いありません。とはいえ、今後のことを考えると、今が対策を講じるには最も早いタイミングです。少子化対策に対する機運が政治面で高まることに期待したいと思います。