株式会社AWARDの渡邉です。
米国で利上げが行われていることで、株価や世界の経済が大いに影響を受けています。ドル円の為替レートは1ドル=135円前後という20年以上ぶりの円安水準です。
そんな中ですが、世界の経済を冷やす原因となりうる要素の一つとして、米国の住宅ローンの金利について取り上げてみたいと思います。
米国の経済に大きな影響を及ぼす住宅市場
米国というのは世界一の経済大国なわけですが、実は内需がかなり強く米国民の強い消費により経済が発展している面があります。
個人による消費、つまりお金を使う場面を考えると、人生の中で最も大きなお金が動くのは住宅を買うときですよね。
米国での住宅の売れ行きというのは、経済の行方を左右する威力を持っていますし、住宅市場の混乱は、経済危機を引き起こすこともあります。
2008年のリーマンショックを引き起こしたのは、原因をたどっていくと住宅市場の崩壊と住宅ローン市場の崩壊であり、サブプライムショックとも言われています。
もしかしたら、現在の米国の経済も住宅市場の行方に左右されることがあるかもしれません。
米国の住宅ローン金利の上昇
さて、米国で住宅市場にローンを提供している連邦住宅金融抵当公庫(通称フレディ・マック)という金融機関があります。日本で言えば、フラット35などを提供している住宅金融支援機構にあたる機関です。
こちらのフレディ・マックが毎週発表している住宅ローン金利の水準があるのですが、こちらの数字がここ1年間で急上昇しています。
米国で最も利用されている期間30年の住宅ローン固定金利が、6月23日に発表された最新のデータでは5.81%となっているのです。ちなみに1年前の水準を見ると、3.02%になっていました。
約1年間で住宅ローン金利は2倍になっていることになります。
支払額はどう変わる?
さて、それでは50万ドル(約6750万円)を借りて米国で家をかった場合の支払額は、昨年と今年の金利で比べてみるとどうなるでしょうか?シミュレーションをしてみると、
《金利3.02%の30年ローンの場合》
月々2,113ドル、総支払額76万680ドル(約1億269万円)
《金利5.81%の30年ローンの場合》
月々2,936ドル、総支払額105万6,960ドル(約1億4269万円)
となりました。金利が上昇したことによって、ローンを利用した場合の住宅に対する支払額は約39%ほど上昇していることになります。
米国では2022年5月に前年同月比+8.6%という記録的なインフレ率を記録しました。しかし、住宅ローンの支払額はそれ以上のスピードで急激に上がっています。
こうした住宅ローン金利の上昇が、米国における住宅の購買意欲を冷やし、景気が転換点を迎えるといったシナリオも今後考えられます。また、日本人も現在の日銀が金融政策を転換した際には、住宅市場が大きく変わる可能性もある、ということを意識しておきたいところです。