円安インフレへの対抗策

ライフプランニング

株式会社AWARDの渡邉です。

円安が急激に進んでいます。2022年3月19日時点での対ドルの為替レートは、

1ドル=119.17円

です。これは6年1ヵ月ぶり、2016年2月以来の円安となります。円安が進んでいるというのは、日本の国力が落ちていると見ることもできます。さらに言えば、円安の進行はインフレを引き起こし、私たちの生活に大きな影響を及ぼします。

今回はこうした円安、インフレの状況と対応策について書いていきたいと思います。

経常赤字の拡大


財務省が3月8日に発表した2022年1月の国際収支統計によると、海外とのモノやサービスなどの取引状況を表す経常収支は1兆1887億円の赤字となりました。

赤字額は過去2番目に大きい水準となっています。今回の経常収支は2か月連続の赤字となっていますが、原油高などを見る限り、この傾向は続く可能性があります。

現行の統計によると、2013年10月から2014年1月までの4カ月間が経常赤字の最長連続記録でしたが、今回はこれを超えるかもしれません。ちなみに、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は2022年2月分までの統計が出ていますが、7か月連続の赤字となっています。

経常赤字と貿易赤字が続けば、日本という国が外からお金を稼げない国ということになってきます。そうした通貨の価値が外貨に対して落ちていくのは、自然なことですよね。米国が利上げを行ったので、『強いドル』になっているという見方もありますが、実際には対ユーロなどでも円の価値は落ちているため、『弱い円』という見方のがしっくりきます。

円安はインフレの要因に


さて、最近はモノの価格の上昇が良くニュースに上がるようになってきました。海外でもモノの値段が上がるインフレはここ数か月間で急激に進んでおり、日本にもその波がやってきた形です。

ロシアによるウクライナ侵攻は、元々価格が上昇傾向にあった原油価格をさらに押し上げ、さらには小麦の価格なども高騰させることになりました。

ドル円の為替レートが変化しても、普段の生活に変化は感じないかもしれません。なぜならば、わたしたちは日本で買い物をするときには円で支払いをするからです。ただし、わたしたちが購入するものの多くは外国から輸入した原料から作られていたり、そもそも外国で作られている製品です。為替が円安に振れれば、価格が上がります。

世界的なインフレ傾向に加えて、日本の円安が進むことによる物価上昇が起きれば、わたしたちの生活はかなり苦しくなるでしょう。

外貨を持ち、外貨を稼ぐ


2021年1月から見ると、日本円に対するドル高は16%進みました。言い換えれば、それだけ日本円の価値が落ちた、ということです。年収500万円を稼ぐ方のドル建ての年収は、

2021年1月 約48430ドル

2022年3月 約41940ドル

に急激に目減りしているわけです。

誰にでも簡単にできる円安への対抗策は、外貨建ての資産を保有することです。

・米ドルの預金を持つ

・外貨建ての投資商品を持つ(為替ヘッジなしの外国株式の投資信託等)

は、比較的保有するハードルの低い外貨建て資産かと思います。そして、その割合は、可能であれば50%を目安にしてみてください。日本円はほぼ日本でしか使われていない通貨ですが、米ドルは世界中で決済に使われるのに加えて、世界の基軸通貨です。他の通貨も交えるのも勿論良いですが、まずは米ドルを中心に保有すると良いでしょう。

そして、可能であれば外貨を稼ぎましょう。外貨を稼ぐのは、海外と取引をしなければいけないので、ハードルは高いかと思いますが、海外でも通用するスキルを身に着けるというのは、これからの時代を生き抜く上では非常に重要だな、とひしひしと感じます。

資産保有と重なる部分もありますが、外貨建ての投資を行うのも良いでしょう。外貨建てで殖える資産は、あなたの代わりに外貨を稼いでくれる原動力になります。

今回の円安がどこまで進むかは、かなり不透明なところがあります。7年前には1ドル=125円、24年前には1ドル=147円、そして1971年までは1ドル360円の時代もありました。

変化する時代に対応できるよう、柔軟に自分自身も変化させていきましょう。


執筆者:渡邉亮

こちらのコラムは日々金融情報に触れて頂きたいという想いから継続して配信しています。あなたにとって大切な方にぜひご紹介ください。

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