株式会社AWARDの渡邉です。
12月10日に11月の米国の消費者物価指数が発表されました。今後の金融政策を占う上で大きな注目を集めていた指数ですが、結果についてチェックしておきましょう。
39年ぶりの物価上昇
11月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比6.8%上昇と1982年以来の大きな伸びとなりました。10月の6.2%上昇から、さらに上昇スピードを早めたことになります。前月比では0.8%の上昇となりました。
物価が上がれば私たちの手元のお金の価値は減ることになります。1ヵ月でお金の価値が0.8%も失われたと考えると、かなり怖い状態ですよね。
ただし、今回の物価上昇は事前のエコノミストによる予想に一致していました。さらに物価上昇のスピードが早まることを予想していた市場関係者もいたので、予想と一致した結果がでたことで市場は落ち着いたようです。
S&P500は最高値を更新
CPIの発表後、12月10日の米株式相場は反発し、S&P500が最高値を更新しました。物価が上昇するのは、景気が良いことを示すので本質的には株式にはプラスの要因になります。しかし、物価に対して以上がセンシティブになっているのは、急激なインフレが当局の金融政策に変化を及ぼす可能性があるからです。
インフレが強すぎると、米国は金融引き締めのペースを速める必要が出てきます。物価の上昇に歯止めがかからなくなれば、多くの方の生活を圧迫することになるからです。
今回CPIが市場予想に一致したことで、急激な金融引き締めは起こりにくいだろう、と市場が判断し株価が上昇したことになります。なお、FOMCは14、15両日に開催され、現地時間で15日の午後2時(日本時間16日午前4時)に声明と最新の経済予測が公表されます。
日本でも物価上昇はすぐそこに
さて、これは米国の状況なわけですが、日本でも物価の上昇の波はすぐそこまで来ています。企業間で取引するモノの物価動向を示す11月の企業物価指数は、前年同月比9.0%上昇しました。これは1980年12月(10.4%)以来の伸び率となります。
つまり企業間の取引においては41年ぶりの物価上昇がすでに起こってきているということになります。原材料コストの上昇を販売価格に乗せる動きを企業が始めれば、すぐにでも個人の生活に影響がある物価上昇が起こり始めるでしょう。
ただし、日本では物価の上昇に対する根強い抵抗感があるので、スムーズな物価上昇は起こらない可能性もあります。来年は各国の金融政策とともに、物価の上昇も注意深く見ていくのが良さそうです。