為替の歴史と通貨分散

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株式会社AWARDの渡邉です。

現在のドル円の為替レートは1ドル=約109円。最近はこのくらいの為替レートの状態が続いている印象がありますが、円高と円安どちらかに振れるとするなら、どちらの方が日本にとって有利だと思いますか?本日は円高、円安のどちらが経済にとって良いのかと、為替の歴史について軽く触れていきたいと思います。

円高の方が日本に有利?


円安と円高、どちらの方が日本経済にとって有利なのか?この点について、日本経済研究センターが興味深い結果を出してくれています。

2015年の産業連関表などから分析すると、円安が進んだ場合の『外貨建てで輸出する商品の円換算額が増え、売上高が膨らむプラス効果』『輸入品が値上がりしコストが増えるマイナス効果』の差引で、対ドルで10%の円安になった場合、国内生産額比で0.5%デメリットが上回るとのことです。

円高、円安それぞれメリットデメリットがありますが、円高の方が円安よりも日本経済には良い影響を与えそう、ということですね。

ニクソン・ショック後の為替変動


ここで為替の歴史を振り返ってみると、第二次世界大戦後長らくの間、金為替本位制(ブレトン・ウッズ体制)と呼ばれる米国のドルと金が交換できるという前提のもとに、ドルを基軸とした固定相場制が敷かれていました。この体制下ではドル円の為替レートは1ドルは360円で固定され、1948年から1971年まで同じ為替レートが使われていました。ドル円の力関係が変わっても、同じ為替レートのままということですから、今ですと考えられない状態ですよね。

そこから1971年に米国が金とドルの交換をやめるという宣言をしました。これがニクソン・ショックです。1971年12月に円のドルに対する為替レートは360円から308円に切り上げられ、その後1973年2月には完全な変動相場制へ移行しました。

現在の円の強さは?


さて、こうして変動相場制になった為替レートですが、2国間だけで見ると通貨の力関係というのは正確にはわかりません。そのため、貿易量や物価水準を基に総合力を算出する「実質実効為替レート」という指標が存在しています。

この指標で見ると円の強さは、1971年のニクソン・ショックからピークの1995年までの間に2.6倍になりました。しかし、ピークから26年経った今、この数値は5割低下し、1973年の水準に逆戻りしてしまっています。

単純な円安、円高で言えば円高の方がやや日本経済には良い中で、日本円の力は世界において低下している、と見ることができるのではないでしょうか。

長い目で見ると、じわじわと通貨の価値は変動します。個人の資産においても一つの通貨だけを持つのではなく、通貨を分散して保有することを意識するのをお勧めいたします。


執筆者:渡邉亮

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