株式会社AWARDの渡邉です。
多くの会社の株式が上場している東京証券取引所。日本で最も大きな証券取引所でもあります。この東京証券取引所、今は、
東証一部、東証二部、JASDAQスタンダード、JASDAQグロース、マザーズ
といった市場に分かれていますが、2022年4月からは、
プライム、スタンダード、グロース
という3つの市場区分に再編されることになっています。
プライムへの生き残りへ
今までは東京証券取引所で最も社会的に影響の大きな市場と言えば一部でしたが、今後はプライムになります。プライムの意味は、「第一の」「主要な」「最も重要な」などですから、言葉通り最優先される市場ということになるでしょう。
現在東証一部に上場している企業の多くはプライムに残りたいと考えているでしょうが、意外とその基準を満たせない企業も多いようです。プライムへ残るためには、
流通株式時価総額:100億円以上
流通株式比率;35%以上
時価総額:250億円以上
等を含めた複数の基準を満たす必要があります。しかし、今のままでは現在東証一部に上場している企業でも500社以上が基準を満たせていないようです。
流通株式とは?
プライムへの上場基準を満たす上で、意外とネックとなるのが流通株式です。流通株式とは、
・主要株主(10%以上所有)が所有する株式
・役員等所有株式
・自己株式
・国内の普通銀行、保険会社、事業法人等が所有する株式
・その他取引所が固定的と認める株式
等を除いた株式のことを指します。
実はこの流通株式の点で、ZOZOやトヨタ紡織などはプライムの基準を満たすことができていませんでした。そのため、これらの企業ではプライムに残るために、流通株式を増やすための動きを起こしています。
大株主による株式の売却
ZOZOの動きとしては、創業者である前澤友作氏に株式の売却を依頼し、実際に市場外でZOZOの株を売却してもらったようです。
関東財務局に提出された書類によれば、今年5月25日に前澤氏はみずから保有していたZOZO株の一部である705万5900株を市場外で処分し、約264億円の売却益を得たとのこと。
ZOZOでは市場に流通株式比率が34.8%とプライムの基準の35%に届いていなかったのが、創業者であり大株主である前澤氏に株式を売却してもらったことで、プライムの基準を満たす流通株式比率を達成することができました。
こうした前澤氏のZOZO株の売却は一例であり、プライム基準を満たさない上場企業の持ち合い株の解消、大株主による株式の売却は2022年3月頃まで続くと考えられます。当然売りに回る投資家が多いというのは株価が上がりにくい要因になりますから、しばらく日本株は辛抱が必要な展開になるかもしれませんね。
市場再編に向けた痛みを受け入れるべき時期として、今は考えると良いのではないでしょうか。