雇用なき経済
2021.3.6

株式会社AWARDの渡邉です。

昨日は経済の状況を見る上で非常に重要とされている米国の雇用統計がありました。市場の予想よりも雇用状況は改善していましたが、以前の雇用状況に戻るまでにはかなりの時間を要しそうです。

さらに言えば雇用状況は以前の状態には戻らないのかもしれません。その理由は、《雇用なき経済》にあります。

米国の雇用統計


まず、昨日発表された2月の雇用統計の数字を見ていきましょう。

非農業部門の就業者数:+37万9千人
(市場予想は約18万2千人)

失業率:6.2%
(市場予想は6.3%)

これらの数字は市場予想を上回り、米国の経済が回復していることを示していると言えそうです。

しかし、失業者数は新型コロナウイルスが感染拡大が始まる前と比べると1.7倍の水準となる997万人となっています。また1年前と比べたときの各産業の雇用者数の割合は下記のように変化しています。

飲食業:-16.3%

宿泊業:-31.7%

製造業:-4.4%

情報産業:-8.5%

新型コロナウイルスの影響を受けやすそうな産業はもちろんのこと、そうではない情報産業においても大きく雇用者数が減っているのはなぜなのでしょうか。

情報機器投資が進める雇用者減


こうした雇用者数の減少は、新型コロナウイルスによる景気の悪化だけが原因ではなさそうです。米企業の20年の情報機器投資は前年比7.3%増えました。接触を避けるなどの必要に迫られた企業が情報機器投資を進めたことによって、結果として労働が効率化し、雇用人数が減っている、という面があるようなのです。

これは英国オックスフォード大学のマイケル・オズボーン教授が以前より語っている、人口知能やロボットが人々の雇用を奪っていく未来と重なります。新型コロナウイルスの感染拡大により、産業に必要とされる雇用者数が激減する未来が一気に近づいてきたのではないでしょうか。

雇用される人でいるために


こうした状況は米国だけではなく、日本でも同様の事象が起こる可能性があります。実際のところ、新型コロナウイルスでテレワークなどが進んだことを実感している方は日本でも多いでしょう。働き方が効率化すれば、企業にとって必要な雇用者数は大きく減ってしまう可能性があります。

私たちが雇用される人であるためには、機械に置き換われない仕事ができる人であることが必要です。クリエイティブな仕事や、人のマネジメントをする仕事は、まだ機械になかなかできない部分なので今後も需要はあるでしょう。米国で一足先に雇用の減少という事態が起き始めていると捉えると、日本で働く方も近い未来のことを考えておくと良いかもしれません。


執筆者:渡邉亮

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