株式会社AWARDの渡邉です。
アベノマスクと呼ばれた1世帯あたり2枚の布マスクの配布事業。新型コロナウイルスの影響でマスクの供給が満たされない状態が続いた際に、発案されて実行されたものでした。
現在ではマスクの供給はかなり安定してきていますが、政府としては今後さらに8,000万枚を配布する予定とのことです。
一時期マスクの価格が高騰したのは、皆様ご存知のことでしょう。普段であれば1枚あたり数円のマスクが、1枚あたり100円といった価格でインターネットや各商店で販売されていました。
ちなみに通販の価格比較サイトによると、使い捨てマスク1枚あたりの最低価格のピークは、
4月24日:57円
5月1日:39円
6月10日:10円
といったように低下していったとのころです。マスクの供給元である中国で感染拡大が収束に向かったことで供給量が増えたようですね。
今回のマスク価格は、需要と供給によって価格が推移する非常に良い例だったと思います。マスクの価格が高い際には、多くの事業者が利益も見込めるためマスクの仕入れと販売を行いました。そして、多くの事業者がマスクを取り扱うことによって、価格は下がったということになるでしょう。
市場原理に任せていると、いずれ価格というのは均衡します。特に参入障壁が小さい事業であるほど、早く価格は均衡に向かうため、今回のマスクの例では価格の低下も早かったのではないでしょうか。
そのため、政府としてはマスクを配らずに、価格低下を待つという選択肢もあったのではと思います。
しかし、市場原理に任せていると、本当に必要な人に必要な物資が届かないということはあります。今回の新型コロナウイルスの感染拡大期には、マスクの価格が高騰し、医療現場にマスクがないという逼迫した状態にまでなりました。市場原理だけに任せていると倫理的な問題がしばしば発生します。
そのような事態でしたから、マスクの配布は一定の効果があったと言えるのではないでしょうか。今から配られる8,000万枚の布マスクは、市場原理によって価値は低下した今価値は薄くなってしまったと言えそうですが、非常事態時の契約が残っていることを考えるとやむを得ない部分はありそうですね。
なお、現在配布・発注済みの布マスクは計約2億8700万枚で、総額約507億円の費用がかかっているとのこと。アベノマスクは1枚あたり177円ほどのコストがかかった政府の事業となったようです。
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