株式会社AWARDです。
昨今、早期退職や希望退職を求める企業のニュースが目立つようになってきました。本日は東京商工リサーチがまとめた2019年上半期の上場企業による早期・希望退職の募集状況についてご紹介させていただきます。
昨年から倍化
2019年上半期(1~6月)に早期・希望退職を募集した上場企業数と募集・応募人数をみてみますと、
企業数:17社
募集応募人数:計8,178人
とのことです。ちなみに2018年の1年間のデータですと、
企業数:12社
募集・応募人数:計4,126人
となっていますから、この数字はすでに昨年1年間の倍近くとなっていることになります。それだけ経営環境や、人材の入れ替えに対する企業の考え方が変わってきているということでしょう。
先を見据えた先行型も
こうした希望・早期退職者を募る企業は、やはり業績のわるい企業が多いのでしょうか。内訳を見てみますと最終赤字の企業が6社、減収減益の企業が4社となっており、業績不振から人員の削減に至るところがやはり多いようです。一方で、アステラス製薬、中外製薬、カシオ計算機などは業績が堅調にも関わらず人員の削減を行っています。こうした企業は今後の経営環境や業績の悪化を見据えて先行した判断をくだしているということになります。
早期・希望退職者を募った企業のうち、特に人数が多かった企業は、
富士通:2,850人
ジャパンディスプレイ:1,200人
東芝:1,060人
となっています。錚々たる大企業の面々でさえ終身雇用の維持ができなくなっている様子が、こうした企業の名が出ることでうかがい知れるのではないでしょうか。
自身の価値を高めておく
さて、こうした早期・希望退職者を募っている企業数ですが、まだ全上場企業のうち0.5%ほどです。増えてはいますが、決して多いとも言えません。また全ての従業員を整理しようとしているわけでもないため、自分の身を守るという観点では社内での人材としての価値を上げるべく仕事をするというのは大切かと思います。
また、仮に早期・希望退職の対象となったとしても、そのときに慌てないように自身の価値を高めておくことも大切かもしれません。どこでも働ける能力があったり、会社以外の収入で生計が立っている状態を作ってあれば、自分の勤めている企業でそうした出来事が起きてもあまり焦ることはなくなるでしょう。
経団連の中西宏明会長やトヨタ自動車の豊田章男社長からも、「終身雇用の見直し」について発言がでる時代です。大企業でも来るべきときには、人材の整理をおこなうということは念頭においておいた方が良いでしょう。そんなときが来ても大丈夫なように、今から対応策を考えおくのは決して意味のないことではないかと思います。