株式会社AWARDです。
2016年4月の電力小売自由化、そして2017年4月の都市ガス小売自由化によって家庭の光熱費負担が減っている中、ついに2018年7月に水道民営化を含む水道法改正案が衆議院で可決されました。この可決は私たちの生活にどのような影響がでてくるのでしょうか。本日はそちらの内容をご紹介させていただきます。
水道法改正案
水道法改正案が審議入りしたのはいつだったのでしょうか。これは2018年6月27日にさかのぼります。働き方改革関連法案に押され、審議入りは未定だったものの、6月18日に発生した大阪北部地震により21万人以上が水道の被害を受けたことで、「老朽化した水道」という問題がクローズアップされ、一気に審議入りしました。
改正案は、水道基盤の強化を柱として考えられており、内容は以下の5つとなっています。
①関係者の責務の明確化
②広域連携の推進
③適切な資産管理の推進
④官民連携の推進
⑤指定給水装置工事事業者制度の改善
複数の市町村で事業を広域化して経営の効率化をはかるため、都道府県が計画の推進役を担う内容となっています。市町村などが経営する原則は維持しながら、民間企業に運営権を売却できる仕組みが盛り込まれています。
耐用年数とは
市町村の水道事業者は、人口減による収入減による赤字体質のところが多く、老朽化した水道管の更新が遅れているのが現状です。全国の水道網の多くが、1960年~70年代に整備されています。厚生労働省によると、40年の耐用年数を超えた水道管の割合は2016年度末に全国で平均14.8%となりました。
更新率は0.75%で、全て更新するのに130年以上かかるペースになっています。年間2万件以上の老朽化による事故があるため、それより前に直さなければ事故はもっと多くなる可能性が高いでしょう。
「水道民営化」の失敗事例
実は水道事業民営化においては、海外で失敗例も見受けられます。水道の民営化の失敗例としてよく知られているのが、マニラとボリビアの事例です。
マニラでは水道料金が4~5倍になり、低所得者は水道の使用を禁じられました。またボリビアでは、水道料金を一気に倍以上に引き上げ、耐えかねた住民たちは大規模デモを起こし、200人近い死傷者を出す紛争に発展しました。
海外の235の都市で民営から公営に戻した事例があると記載されている文献もあるとのことで、日本の民営化もどうなっていくのか気になるところです。日本は地震などの災害も多いので、懸案事項として挙がっている状況となります。少しずつ変わる私たちの生活。普段使用している大切なライフラインだからこそ、注目していきたいですね。