株式会社AWARDの渡邉です。
三菱UFJ銀行の時価総額が、日本企業の中で2位へと上がってきたそうです。これは日銀による金融緩和が少しずつ解除されていく、という思惑での上昇となります。
金融緩和解除で銀行株が上がるわけ
について今回はご紹介させていただきます。
1.銀行の収益構造
まず、金融緩和が終わりに近づくことで銀行株が上がる理由を理解するには、銀行の収益構造を知ることが不可欠です。
銀行の収益源は多岐に渡りますが、その中でも中心的な役割を果たすのが「利差収益」です。
これは、銀行が預金者から低い金利で預金を受け入れ、その資金を高い金利で貸し出すことで生まれる利益のことを指します。
現在大手銀行の普通預金は0.001%程度。1億円預けても預金者が年間に貰える利子は1000円に過ぎません。しかし、銀行は預かったお金を銀行は他の方に金利1%で貸すことができるわけです。
1億円の1%は100万円。つまり100万円から預金者に払う1000円を引いた部分は銀行の利差収益、ということですね。
2.緩和解除で増える利差収益
ただし、ここしばらくの金融緩和政策下では、中央銀行が市場へ資金を供給し、金利を低く保つため、銀行の利差収益は狭まる傾向にありました。
住宅ローンの変動金利は長らく1%を下回る状態が続いていますが、これも金融緩和政策の影響です。
しかし、金融緩和の解除や金利の正常化が進むことで、金利は上昇の方向に向かい、銀行の貸出金利は上昇します。
一方、預金金利はすぐには上昇させないことができるため、利差、つまり銀行の収益が広がることとなります。
3.マイナス金利政策で強くなった日本の銀行
長らく続いたマイナス金利政策の下で、多くの日本の銀行は厳しい経営環境の中でも収益を確保するための努力を重ねてきました。
コスト削減、デジタル化による業務効率の向上、新しいサービスの開発など、様々な戦略を採用し、実行に移してきています。最近銀行の支店が統合されて減っているのですが、経営合理化のための一環となります。
こうした銀行の経営努力の結果、マイナス金利政策下でも銀行は収益を上げてきました。
もし、今後金利が上昇していくとするならば、現在の銀行はより利益拡大の恩恵を受けやすい体質に進化しています。だからこそ、金融緩和の解除の思惑で銀行株が上昇しているのです。
4.まとめ
金融緩和の解除や金利の正常化は、銀行の利差収益を拡大させる大きな要因となります。
日銀がどう動くかはまだ不透明な部分があります。が、日本の銀行は過去の厳しい経営環境での経験と変革により、金利が上昇する局面で収益増大を狙えるポジションにあります。
銀行株の上昇は、これらのポジティブな背景に支えられています。投資家や預金者として、銀行業界の動向はチェックしていきましょう。