株式会社AWARDの渡邉です。
ファンドのコスト競争
について今回は取り上げたいと思います。
インデックスファンドは、日経平均株価やS&P500といった株価指数に連動する値動きをするように作られたファンドです。
そんなインデックスファンドの手数料引き下げ競争が激化してます。
1.業界をリードしてきた三菱UFJ国際
インデックスファンドで低コストなファンドとして有名なのは、三菱UFJ国際のeMAXIS Slimシリーズでしょう。証券会社や銀行の店頭で販売されている通常のeMAXISシリーズとは別に、ネット証券での販売をメインとしたeMAXIS Slimというシリーズが生み出され低コストなインデックスファンドとして業界を牽引してきました。
現在特に人気が高い商品の一つとして、
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
が挙げられます。このファンド一つで世界中の50ヵ国ほどへと投資を行うことができ、現在の1兆4000億円ほどの資金が集まっています。
2.ライバルの登場
そんなeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の信託報酬(毎年かかる手数料)は、現在0.1133%以内とされています。1%をはるかに下回る水準で、非常に低コストなため、わたしたちの資産形成の強い味方です。
しかし、そんなeMAXIS Slimに対抗して、他社が競合商品を投入してきています。
日興アセットマネジメントが投入してきた、
Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)
や、野村アセットマネジメントが投入してきた、
はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)
がそれにあたります。どちらも今年になって市場に投入された商品です。
この2つのファンドはeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)と同じ株価指数に連動するのですが、信託報酬は、なんと0.05775%。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の半分程度となります。来年から始まる新NISAを見据えて、eMAXIS Slimへ対抗することを意識しながら作られた商品であると言えるでしょう。
3.三菱UFJ国際も追随
さて、こうした状況の中で、三菱UFJ国際も動くことを決めたようです。
元々eMAXIS Slimは「業界最低水準の運用コストを目指す」というコンセプトを掲げています。
このコンセプトがあるからには、競合他社の動きを無視するわけにはいかなかったのでしょう。
日経新聞の記事によると、三菱UFJ国際投信は「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の信託報酬を今年の9月8日から他社商品に揃えて業界最低水準へと引き下げるとのことです。
1兆4000億円のファンドですから、現在の信託報酬である0.1133%をかけると、現在のこのファンドから得られる収入は約1600億円。この信託報酬を0.05775%へ下げにいくわけですから、半分にあたる年間約800億円を捨ててでも、業界最低水準のコストというブランドを守りにいくということですね。
運用会社間のコスト競争は基本的に投資家にとっては望ましいです。ただし、それで成り立たなくなる会社も出てくるでしょうから、業界内での淘汰は進むかもしれませんね。
4.まとめ
現在国内のインデックスファンドでNo.1の地位を築いているeMAXIS Slim。競合他社も対抗商品を出してきていますが、業界最低水準のコストは守り続けていく方針のようです。
運用会社のコスト競争により、わたしたちは10年前くらいと比較すると圧倒的に有利な環境で投資ができるようになっています。ぜひ将来に向けた資産運用に向けてインデックスファンドも活用していきましょう。