株式会社AWARDの渡邉です。
現在ドル円の為替が1ドル=143円を超えてきており、円安が進行しています。今回は、
進む円安、為替介入はあるか?
というテーマを取り上げます。
1.為替介入とは?
2.2022年に財務相が行った為替介入とその効果
3.今後の為替介入はあるか
の流れでご紹介させていただきます。
1.為替介入とは?
為替介入は、通貨価値の過度な変動を防ぐために、財務省が各国の通貨が交換されている為替市場へと介入することを言います。
極端な円高が進んだ際には、ドル買いの介入が行われます。こちらは、財務省が外国通貨を購入し、その代わりに市場に円を提供します。ドル買いの介入が行われると、為替は円安方向に動きます。
一方、極端な円安が進んだ際にはドル売りの介入が行われます。外国為替市場でドルを売って円を買う「ドル売り・円買い介入」を行う場合には、財務省管理下のドルを売却して、円を買い入れることになります。
2.2022年に財務相が行った為替介入とその効果
昨年2022年には、政府・日銀が連携し、ドル円が1ドル145円を超えた9月22日に24年ぶりとなるドル売り・円買い介入に踏み切りました。
また、150円を超えた10月下旬にも2度介入が実施され、合計3回、総額9.2兆円規模の介入が実施されています。
為替介入が、大きな為替変動の流れを止めることができたわけではありませんでしたが、急激に進む投機的な円安の動きを一定程度牽制する効果はあった、というのが振り返ってみると伺えます。
3.今後の為替介入はあるか
昨年の24年ぶりのドル売り・円買い介入は、ドル円の為替レートが1ドル=145円を超えたタイミングで第1回が行われました。
2023年6月27日現在、ドル円の為替レートは143.49円。昨年、為替介入が行われた水準に近づいてきています。この水準の為替レートに社会全体が慣れてきている雰囲気もありますから、すぐに為替介入が行われるかはわかりません。
ただし、昨年の為替介入の責任者でもあった神田真人財務官が、外国為替市場での円安進行について「足元は急速で一方的だとみられる。行き過ぎた動きには適切に対応したい」といった発言を6月26日にしています。
為替介入を匂わせる発言で、市場にてやや警戒感が高まっている状態、と言えるのではないでしょうか。
4.まとめ
ドル円の為替レートが円安方向に進んでおり、2022年に為替介入が行われた水準に近づいてきました。
むやみな為替介入は国際的な批判の対象にもなるので、慎重な運用が行われるとは思いますが、実際に昨年は3回の為替介入が行われています。極端な動きがあった際には、今年も為替介入が行われる可能性はある、と警戒しておくのは良いでしょう。
また、円安が進むのをただ指を咥えて待っていては、わたしたちの日本円建ての資産は国際的に見てどんどん価値を失ってしまうという面もあります。個人の資産の持ち方としては、外貨建ての資産も持つ、ということも意識していきたいですね。