株式会社AWARDの渡邉です。
国内でステーブルコイン発行可能に
なることが、日経新聞より報道されました。6月1日施行の改正資金決済法により、今まで国内では発行できなかったステーブルコインが発行可能になります。
1.ステーブルコインとは
2.日本で発行可能になるのは
3.海外で発行されたステーブルコインの例
といった流れでご紹介させていただきます。
1.ステーブルコインとは
ステーブル(Stable=安定した)コインは、価値の変動が少なく各国の法定通貨に連動するように設計された仮想通貨の一種です。ブロックチェーン技術とデジタルトランザクションの利便性を維持しながら、価格変動のリスクを低減した仮想通貨として世界で流通しています。
代表的な仮想通貨であるBTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)などは価格変動が激しいので、決済手段としてはあまり向いていないので、その弱点を補うのがステーブルコインです。
ステーブルコインの価格を安定させるために、発行体が特定の資産の裏付けを持ったり、暗号資産を担保に発行されたり、一定のアルゴリズムで供給量を調整して価値を安定させたり、といった手段が使われます。
今回、日本で発行が可能になるのは、最初に挙げた発行体が資産の裏付けを持った上で発行されるタイプのステーブルコインです。
2.日本で発行可能になるのは
今回日本でステーブルコインを発行可能になるのは、銀行、資金移動業者、信託会社などです。
改正資金決済法によると、日本国内で発行されるステーブルコインの裏付け資産を準備する責任は発行者にあるため、これらの発行体はステーブルコインを発行する際に裏付けとなる日本円を保有することが求められます。
ステーブルコインの国内発行が解禁することで、企業間決済の効率化が期待されています。企業間決済の市場は年間に1000兆円前後と、企業と個人間の取引市場の3倍以上となります。ここの一部でステーブルコインが利用されていくのではないか、と考えられているわけですね。
3.海外で発行されたステーブルコインの例
海外ではすでにステーブルコインが発行されています。メジャーなのは米ドルに連動するタイプのステーブルコインです。代表的なものを下記でご紹介します。
USDT(Tether):USDTは、最も一般的で流通量が最も大きいステーブルコインの一つです。USDTは1対1の比率で米ドルに連動するよう設計されています。発行体はTether Limitedで、Bitfinexという仮想通貨取引所の関連会社でもあります。
USDC(USD Coin):USDCは、USDTと同様に1対1の比率で米ドルに連動するステーブルコインです。USDCはCentre Consortium(CircleとCoinbaseのパートナーシップ)によって発行されています。
USDCの時価総額は10兆円を超えており、USDCの時価総額は4兆円を超えています。つまり、この2つのステーブルコインだけで発行額は14兆円にも上る、ということですね。
日本円のステーブルコインが発行された場合、こうした市場の一部に代わっていくことになるのではないでしょうか。銀行が発行体となると、安心感もありますし、流通していくかもしれませんね。
4.まとめ
6月1日の改正資金決済法により、日本でもステーブルコインの発行が可能になりました。すでに海外ではUSDT、USDCなどの米ドルに連動する仮想通貨が発行され流通していますので、一部に日本円に連動する仮想通貨が置き換わっていくことが予想されます。
新しい技術は浸透するまでに時間がかかりますが、ステーブルコインは銀行や金融機関が主体となって発行されることになるので、安心感はありそうです。
今後の動きも見ていきたいと思います。