米国地銀を助ける投資会社

資産運用

株式会社AWARDの渡邉です。

米国地銀を助ける投資会社

が話題になっています。

今年に入ってから米国で銀行の破綻が相次いだのは記憶に新しいところですが、投資会社はどのような仕組みで銀行を助けようとしているのでしょうか。

1.銀行の破綻と信用収縮

2.銀行のリスクを負って利益を得る投資会社

3.リーマンショックの原因にも

といった流れでご紹介させていただきます。

1.銀行の破綻と信用収縮


ファーストリパブリック銀行、シリコンバレー銀行など、米国の銀行の破綻がここ数か月話題になりました。

米国の政府・金融当局が利上げを進める中で、

・保有している債券の価格が値下がりしてしまい、債務超過に陥ったこと

・銀行の危機が報じられたことで大量の預金が流出したこと

が主な原因でこれらの銀行は破綻しました。

債券というのは本来満期まで保有すれば元本は守られる投資対象ですが、銀行としては預金が流出したことで価格が下がっている債券も売らざるを得ず、手元の現金不足と債務超過に陥ったことで破綻に追い込まれました。

2.銀行のリスクを負って利益を得る投資会社


さて、こうした銀行の破綻は、銀行の経営に大きな影響を及ぼします。破綻していない銀行も財政状態に気を使わざるを得なくなりますし、リスクのある融資などをしにくくなります。つまり、銀行側は貸し渋りをする状態になり、今度は市場にお金が出回らなくなり経済が減速するということです。

最近では住宅ローンの貸出が落ち込むなどの現象も起きつつあり、米国の経済に影響を与え始めていました。

そんな中で、銀行の負うリスクを肩代わりすることで利益をあげようと名乗りを挙げた投資会社があります。世界有数の投資会社であるブラックストーンや、アポロ・グローバル・マネジメントなどです。

これらの会社は銀行が保有する住宅ローンを証券化して、それを保険会社に売ることを計画しているようです。こうした流れで銀行は貸し出しのリスクを軽減することができ、保険会社は貴重な運用機会を手にすることができます。

3.リーマンショックの原因にも


さて、こうした話題を聞いてリーマンショックのことを思い出す方もいらっしゃるでしょう。

リーマンショックの元々の要因になったのは住宅ローンを証券化した商品の破綻でした。レバレッジをかけて複雑に組成された住宅ローン関連商品の価値が大きく毀損したことでリーマンショックへと繋がるサブプライムショックが起きました。

しかし、リーマンショックの教訓もあり、現在の住宅ローンは借り手の属性が当時よりだいぶ厳しく審査されています。また住宅ローンの証券化も複雑にレバレッジをかけて行われることがないように規制が強まっているので、同じことが起きる可能性は大きくないでしょう。

どちらかというと、現在の米国の銀行の危機を救う大きな助けになる、という見方ができそうです。

4.まとめ


米国の銀行の危機と信用収縮を、ブラックストーン、アポロ・グローバル・マネジメントといった投資会社がチャンスとみて面白い手を出してきました。

米国の銀行を助ける面もありますし、当然投資会社にとっても収益機会となるという判断をしたということでしょう。

住宅ローンの証券化で保険会社の資産が間接的に地方銀行に流れるようになれば、現在の危機からの回復の一助になるのではないでしょうか。


執筆者:渡邉亮

こちらのコラムは日々金融情報に触れて頂きたいという想いから継続して配信しています。あなたにとって大切な方にぜひご紹介ください。

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