楽天銀行、上場

資産運用

株式会社AWARDの渡邉です。

楽天銀行が上場

しました。

上場にあたっては紆余曲折ありましたが、どんな推移を辿ったかについて今回はご紹介させていただきます。

1.価格の推移

2.楽天に入るお金は

3.苦境の楽天グループ

といった流れで書かせていただきます。

1.価格の推移


楽天銀行の上場は、有名企業であることからもかなり注目されていました。新規株式公開(IPO)の際には、もともと未上場だった株を市場に売却することで、株式を売り出した人や会社が資金を調達することができます。

楽天銀行の場合は、3月時点では1株あたり1630-1960円と発表しており、時価総額は最大で約3330億円規模を見込んでいました。しかし、その後シリコンバレー・バンクの破綻、UBSによるクレディ・スイスの買収などがあり、世界の銀行の経営状態に対する不安感が増したことで、1株あたり1400円で市場に公開されることが決定しました。

今回、上場後の初値は1856円となり、初日の終値は1930円となりました。公開価格で買った投資家は上場当日時点では全員が勝っていることになります。

2.楽天に入るお金は


楽天銀行のIPOで楽天グループは約1000億円の資金を調達する見込みでした。

しかし、公開価格が下がったことで実際に調達できたのは、717億5500万円ほどになったようです。

上場後に価格が上昇しても、楽天グループにはお金は入りません。市場に対して売り出したときの株式をいくらで売却できたかによってIPOでの資金調達額は変わるのです。

今回の上場は総じて、『楽天グループが割りを食って、投資家が利益を得た』取引になったと言えるのではないでしょうか。

なお、楽天グループはまだ楽天銀行の株式を保有していますから、さらに株式を市場に売り出す際には資金調達できます。公開後に価格が上がったのは将来のことまで見通せば悪くはなかった、ということになるでしょう。とはいえ、本音ではもう少し高く公開して少しでも多くの資金調達をしたかったのではないかと思われます。

3.苦境の楽天グループ


今回の楽天銀行の公開は、楽天グループの苦境に端を発しています。楽天グループの決算は2019年12月期より赤字が続いており2024年12月期まで赤字が続く見込みとなっています。これは2019年に参入した携帯事業、楽天モバイルが上手くいっていないことが大きな要因になっています。

少し前には、楽天グループとして非常に高い利回りの債券を発行したことも話題になりました。楽天銀行の株式公開も資金調達のためですし、昨年の11月には、楽天証券の株式もみずほ証券に対して20%ほど売却して約800億円を調達しています。

楽天グループは、資産を切り売りしながら、資金調達を重ねているような状況です。楽天と言えば日本では誰しもが知る大企業ですが、かなり苦境に陥っている、というのは認識しておきましょう。

とはいえ、楽天証券や楽天銀行に預けている資金などが、すぐに危機にさらされるといったことはないので心配しすぎないようにしましょう。金融機関なので規制によってわたしたちの資産は守られています。

今後楽天がどう苦境に向かっていくのか、要注目です。


執筆者:渡邉亮

こちらのコラムは日々金融情報に触れて頂きたいという想いから継続して配信しています。あなたにとって大切な方にぜひご紹介ください。

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