株式会社AWARDの渡邉です。
ソフトバンクグループがアリババ株の大半を売却
することが報道されました。
1.ソフトバンクとアリババ
2.アリババの苦境
3.ソフトバンクグループの今後
といった流れで現在の状況についてご紹介させていただきます。
1.ソフトバンクとアリババ
孫正義氏は、日本のソフトバンクグループの創業者です。孫正義氏は事業だけでなく、投資で大きな成功をおさめてきたことで有名ですが、その最大の成功例が中国の大手インターネット企業アリババグループへの投資です。
アリババグループは、1999年に創業され、中国最大のオンラインマーケットプレイスであるアリババドットコムを運営しています。孫正義氏は2000年に創業間もないアリババへと約20億円を投資しました。
その後、アリババグループは世界的な成功を収め、2014年のIPO時には世界最大の公開株式市場であるニューヨーク証券取引所に上場しました。孫正義氏の投資した20億円は、2000倍を超える540億ドルへと化け、ソフトバンクグループの価値を高めることになりました。
2.アリババの苦境
こうして大成功をおさめたアリババでしたが、その成功は中国の習近平政権の元で陰りを見せてきました。中国政府による巨大なテクノロジー企業への規制強化の対象となり、2019年には創業者のジャック・マーが退任し、習近平政権の監視下に入りました。
また、2020年11月には、アリババのグループ会社であるアント・グループのIPOが中止に追い込まれ、アリババの株価は急落。さらに、2021年には独占禁止法違反で3000億円相当の巨額の罰金を支払うことになりました。
習近平政権は、テクノロジー企業に対して厳しい規制を加えることで、国内の経済・社会秩序の安定を求めており、アリババにとっては厳しい環境が続いています。
3.ソフトバンクグループの今後
こうした状況の中、ソフトバンクグループは保有しているアリババ株の大半を売却する方向であるとの報道がありました。2000倍を超える成果を生み出した孫正義氏によるアリババへの投資は、ここでほぼ終止符を打つことになります。
アリババの苦境も大きな要因なのでしょうが、ソフトバンクグループも内情はかなり苦しくなっています。2022年3月期には2兆7000億円を超える営業赤字を出しており、こうした赤字を埋めるために虎の子のアリババ株を売却せざるを得なかったとも考えられます。
なお、ソフトバンクグループの巨額な赤字は、主にハイテク企業への投資によって生まれています。孫正義氏がアリババへの投資の成功に続く2匹目のどじょうを狙いにいった結果、今のところ上手くいっていないとも言えます。
現在は投資メインの会社になっているソフトバンクグループ。投資先の会社が大きく化けることで、この苦境からは抜けられるでしょうが、アリババのような企業が今後現れるかが鍵になりそうです。