UBS、クレディ・スイス買収合意

資産運用

株式会社AWARDの渡邉です。

歴史的なディールが成立しました。スイス最大の銀行であるUBSが、スイスで2番目の銀行であるクレディ・スイスを30億スイスフラン(32億3000万ドル)で買収することで合意しました。

1.UBSとは?

2.買収による投資家への影響は

3.世界各国の銀行は歓迎

といった流れでご紹介させていただきます。

1.UBSとは?


UBSはクレディ・スイスとともに、グローバルに展開するスイスの銀行として、国際的に重要な銀行です。

UBSのルーツは160年前ほどまでさかのぼり、前身企業の数は約370社に及びます。1998年にスイス・ユニオン銀行とスイス銀行コーポレーションの合併でUBSという銀行は誕生していますが、2008年の金融危機時には政府に救済された歴史もありました。

現在は、

・個人、企業向けの資産管理、高級顧客向けのプライベートバンキング

・機関投資家に対するポートフォリオ管理、リスク管理

・企業、政府、機関投資家向けのM&Aアドバイザリー、株式・債券の引き受け

などのサービスを提供しており、世界最大級の資産運用会社としての評判を築いてきています。

2.買収による投資家への影響は


今回のUBSによるクレディ・スイスの買収は30億スイスフラン規模の株式交換になります。また、合意にあたっては広範囲な政府保証と流動性供給が含まれ、スイス政府のバックアップを全面的に受ける形です。

クレディ・スイスの株式時価総額は3月17日の終値時点で約74億スイスフランですから、買収額はこの半分未満で決定したことになります。

こちらによって、現在クレディ・スイスの株式へと投資している投資家は50%以上の損失を被ることになります。

また一定の条件を満たすことにより株式に転換されるようなクレディ・スイスの債券を保有している投資家は、今回の買収で条件が満たされて債券の株式転換などによる損失を被る可能性もあるでしょう。このあたりは配慮された上での買収劇でしょうが、クレディ・スイスへと直接投資をしている投資家への影響は小さくありません。

3.世界各国の中央銀行は歓迎


とはいえ、これらを踏まえても、クレディ・スイスの破綻といった最悪の結末は避けることができそうということで、世界の主要な中央銀行からは歓迎の声が上がっています。

スイス国立銀行は、UBSとクレディ・スイスに1000億スイスフラン(1080億ドル)の流動性支援を行うと発表しています。

また欧州中央銀行(ECB)もユーロ圏の銀行を支えるため、必要に応じ融資を行うと表明し、スイス当局によるクレディ・スイスの支援も安定回復に有益だとしています。

米連邦準備理事会(FRB)と財務省もスイス当局による金融安定支援を歓迎すると表明しています。

土日の間にUBSによるクレディ・スイスの買収という大型のディールが確定したのは、各国政府の後押しや圧力もあったのでしょう。アジア時間の市場が始まる前に話をまとめるべく協議が進められていたという話はありますが、これほどまでに迅速に超巨大な銀行の買収劇が確定したのは歴史的な出来事です。

概ね買収に対しての市場の反応はポジティブで、株価などは上昇すると考えられますが、動きは注視していきましょう。


執筆者:渡邉亮

こちらのコラムは日々金融情報に触れて頂きたいという想いから継続して配信しています。あなたにとって大切な方にぜひご紹介ください。

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