クレディ・スイスの危機

資産運用

株式会社AWARDの渡邉です。

シリコンバレー銀行の破綻により世界が揺れましたが、米国の当局が素早い対応を見せたことで相場は落ち着きを取り戻したかのように見えていました。

しかし、ここに来て新たなショックの火種としてクレディ・スイスの経営危機の話が浮かび上がってきています。

1.クレディ・スイスとは?

2.クレディ・スイスの苦境

3.クレディ・スイス発の金融危機はあるか?

といった流れでご紹介させていただきます。

1.クレディ・スイスとは?


クレディ・スイスは、スイスに本社を置く1856年に創業した世界的な銀行で、投資銀行、ウェルスマネジメント、アセットマネジメント、そしてリテールバンキングなどの幅広い金融サービスを提供しています。

スイスの銀行ではUBSに次ぐ2番目の規模を誇る銀行となっており、規模感で言えば日本の都市銀行やゆうちょ銀行等に並ぶような銀行と考えていただければ良いでしょう。

現在は、アメリカ、スイス、そしてアジアを中心に約50の国々で営業拠点を構えており、2019年には約48,000人の従業員を抱え、その総資産は2兆8,500億ドルに達していました。

2.クレディ・スイスの苦境


しかし、クレディ・スイスは過去に様々な問題を抱えてきました。

たとえば、

-イランやシリアなどの制裁対象国家との取引

-投資銀行部門の不適切な取引

-アルケゴス・キャピタル・マネジメントの破綻による損失

などです。

そんな中、近年は預金の流出が止まらず、株主もクレディ・スイスへの投資から撤退するなど悪いニュースが相次いでいました。従業員の大規模な解雇も実行されています。

そして、2023年3月15日には、クレディ・スイスの筆頭株主になっていたサウジ・ナショナル・バンク(SNB)の会長が、クレディ・スイスに対して追加投資をすることはないと語ったことが引き金となり、株価が一日のうちに最大で-30%超の落ち込みを見せました。

また、2007年の最高値と比較すると、クレディ・スイスの株価は-98%となっており、投資家の資金は50分の1にまで落ち込んでいます。

3.クレディ・スイス発の金融危機はあるか?


こうした巨大な銀行を端に発する危機というとリーマン・ショックを想起させます。実際のところ、クレディ・スイスが仮に破綻すれば、それは世界中を巻き込む大きな事件になるでしょう。

ただし、クレディ・スイスは重要すぎて潰すことができない銀行である、ともされています。

実際のところ、クレディ・スイスの苦境を受けて、スイス国立銀行(中央銀行)とスイス金融市場監督局は、

-国の特定の銀行の問題が、スイスの金融市場に波及して直接的なリスクを及ぼすことはない

-クレディ・スイス資本や流動性(資金)の要件を満たしており、スイス国立銀行が必要に応じて流動性を供給する

といった共同声明を発表しています。

Too big too failという『大きすぎて潰せない』という言葉がありますが、クレディ・スイスはまさにその対象です。とはいえ、Too big too be savedという『大きすぎて救えない』といった言葉もあるように、クレディ・スイスは救うにしても巨大すぎて一筋縄ではいかない銀行でもあります。

そうそうすぐに破綻といったことはなさそうですが、今後の流れは注視しておきたいところです。


執筆者:渡邉亮

こちらのコラムは日々金融情報に触れて頂きたいという想いから継続して配信しています。あなたにとって大切な方にぜひご紹介ください。

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