株式会社AWARDの渡邉です。
米国のシリコンバレーバンク(SVB)経営破綻し、その影響が懸念されています。
1.SVBとは
2.SVBはなぜ経営破綻した?
3.今後考えられる影響
といった流れでご紹介させていただきます。
1.SVBとは
SVB(シリコンバレーバンク)は、アメリカのシリコンバレーに拠点を置く銀行で、主にスタートアップ企業向けに金融サービスを提供していました。一般の個人向けのサービスは提供していないため、あまり知られていない銀行かもしれませんが、S&P500の中の1社でもあり資産規模は米国で16位に位置付けられます。
SVBの総資産は2000億ドル余り、日本円でおよそ28兆円と、今回の破綻はアメリカの銀行としては2008年に起きた貯蓄金融機関ワシントン・ミューチュアルの破綻に次ぐ2番目の規模となります。
2.SVBはなぜ経営破綻した?
SVBはスタートアップ企業を中心にビジネスを伸ばしてきた銀行でしたが、その資産は国債やMBSという住宅ローンを担保に発行される債券などで運用されてきました。
これらの債券は満期まで持てば元本が戻ってくるため安全な資産ですが、途中での売却では債券価格が変動している場合に損失を負います。
昨今の米国の利上げの影響で米国のスタートアップ業界は冷え込んできており、SVBのメインの顧客であるスタートアップ企業は預金の引き出しなどを進めていました。そんな中で、SVBを自社で保有していた債券を売却しなくては預金の引き出しに対応できない状態になったため、損失を確定させながら債券の売却を進めることになりました。
損失の発生を発表するのと同時に、増資や資金調達を行い難局を乗り切ろうとしていましたが、株価の暴落、預金の引き出しが相次ぎ、今回の破綻に追い込まれることになりました。
3.今後考えられる影響
今回のSVBの破綻は金融システムに少なからず影響を与えるでしょう。
金融機関の破綻から始まる金融危機というと2008年のリーマンショックを想起している方も多いかと思います。
SVBと同様にスタートアップ企業を対象にサービスを提供している金融機関にも経営状態に対する疑惑の目が向けられるでしょうし、実際に次に破綻する企業は?といった目線で企業を見ている投資家が関連銘柄の売却を進めています。
ただし、今回のSVBは大きな金融機関の破綻ではありますが、リーマンショックのときと比べると金融システム自体の安全性はかなり強固になっています。危機にしないために米国の当局も動くでしょうし、一時的な混乱はあれども、そこまでひどい事態にはならないのでは、とわたしは予想しています。
原因がわかっている中での株価の下落は投資のチャンスにもなり得ます。積極的な投資を行いたい方は、来週の株価の動きは要チェックです。