株式会社AWARDの渡邉です。
ネット証券大手5社での投信の積立額が、過去1年半で倍増しているとのことです。個人投資家が増えることがどのような効果をもたらすのか、今回のコラムでは考えていきたいと思います。
1.積立投資が倍増したわけ
2.日本経済への恩恵は?
3.わたしたちが取るべき行動
といった流れでご紹介させていただきたいと思います。
1.積立投資が倍増したわけ
ネット証券の大手5社というと、現在はSBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券となります。
こちらの証券会社に行われた聞き取り調査の結果によると、月間の投信購入額は2021年5月に初めて1000億円を超え、2022年10月に2000億円に達したとのことです。
2000億円からは大きな変動はしておらず、年間に直すと2.4兆円の資金がネット証券経由で毎年積み上げられていることになります。
こうした積立投資が盛んになっている背景として、2018年に始まった『つみたてNISA』が広く世の中に浸透してきたというのは大きいでしょう。2022年12月末での口座数は725万口座に上り、1年前と比べて40%増えたとのことです。非課税枠を通して投資信託を購入しよう、というのが一般的になってきているとも言えそうです。
2.日本経済への恩恵は?
さて、こうした積立投資が増えることは、日本経済にとって恩恵をもたらしてくれるのでしょうか?実は直接的には大きな恩恵はありません。
例えば昨年10月の公募投信の資金流入額を見ると、
1位 米国株式
2位 全世界株式
3位 米国株式
4位 米国株式
5位 全世界株式
となっています。日本の株式が組み込まれているのは、2位と5位の投信のみであり、2位の投信は数%、5位の投信は1%以下しか日本株式は組み込まれていません。
つまり投信の積立が増えても、その資金は直接的にはあまり日本株式に流入しておらず、すぐに日本の株式市場を活性化させるような効果は生んでいないと考えられるわけです。
3.わたしたちが取るべき行動
とはいえ、投資信託の購入などを通した長期投資が日本に根付いていけば、優良な日本企業の株式に資金が向かうチャンスは増えるでしょうし、個人の資産が投資で増えれば、増えた資産は消費され日本の経済を活性化させてくれることにも繋がります。長い目でみると、個人が投資をすることは国にとってもプラスです。
流れにのり投資を進めていくのが、わたしたちが取るべき行動である、と言えるでしょう。個人の資産の最大化を目指して海外に投資することは、外国企業の出している利益の一部を日本に持ってくることでもあります。
来年からはNISA制度が新しくなり、さらに使い勝手が良くなります。投資をやっている人とやっていない人とで大きな差がつく時代に入ってきました。一般NISAやつみたてNISAは、今年始めた場合は来年からの新NISAとは別枠でカウントされますから、来年を待たずに今から行動を起こしていくことをお勧めいたします。