株式会社AWARDの渡邉です。
日本の金融業界を取り締まっている官公庁と言えば、
《金融庁》
となりますが、そんな金融庁が、資産運用会社のモニタリングを通じて把握した資産運用ビジネス全体の課題等ついて「資産運用業高度化プログレスレポート2022」というレポートにまとめています。
こちら61ページに渡る濃密なレポートなのですが、本日は多くの方の資産運用に役立つと考えられる一部の内容について取り上げさせていただきます。
シャープレシオとは?
まずこのレポートを読む上で、知っておきたい前提知識として、運用の良し悪しを測る尺度の一つであるシャープレシオについてご紹介したいと思います。
シャープレシオというのは、リターンをリスクで割った数値になります。ここで言うリターンとは年間の超過リターン(リスクゼロでも得られる国債等のリターンを上回った超過収益)であり、リスクというのは標準偏差(平均値からの変動具合)です。
わたしたちは投資をするときにリターンだけに注目しがちですが、リスクとともに運用を評価するという尺度がシャープレシオです。シャープレシオの数字は大きければ大きいほど、リスクを抑えてリターンを得ることができている優れた運用ということになります。
アクティブファンドとインデックスファンド
レポートの中でまとめられている事項の一つに、アクティブファンドとインデックスファンドのシャープレシオの差があります。
2021年末までの公募投信(銀行や証券会社で広く一般に販売されている投資信託のことです)の5年間のデータを元にしたシャープレシオの平均が計算されているのですが、
アクティブファンド:0.49
インデックスファンド:0.59
と2021年末までの5年間では、平均的にインデックスファンドの方がリスクに対するリターンが優れていたということになります。こちらは前年のレポートで2019年末まで、2020年末までのデータも出ていただのですが、いずれもインデックスファンドがアクティブファンドを上回っています。
これではわざわざプロのファンドマネージャーに高いコストを払ってアクティブファンドを購入する価値は低いと感じざるを得ませんよね。
独立系と外資系の資産運用会社
そんな中で特定の大手金融グループに属さない独立系や外資系の資産運用会社は比較的良好なパフォーマンスをあげていることが記載されています。
比較的アクティブファンドの中でも良好なパフォーマンスをあげていることが多いのは、
・ファンド数が少ない会社(旗艦ファンドに注力しリソースを集中させることで良好なパフォーマンスを実現している傾向がある)が運用
・中小型株を中心とした運用スタイル(運用担当者による投資対象先の調査と銘柄選定による付加価値を出しやすい)
・生み出している付加価値に対してコスト(信託報酬)が低い
といったものが挙げれることがレポートには記載されています。
まとめ
こうした結果を見ると、アクティブファンドにインデックスファンドが平均として勝っているのは間違いない事実、ということと、インデックスファンドに勝っているアクティブファンドも独立系や外資系の資産運用会社を含め存在する、ということがわかります。
平均的な成績を目指すのであれば、まずインデックスファンドが選択肢に挙がると思いますが、哲学がしっかりしたアクティブファンドに納得して投資ができるのであれば、それもまた良し、というところでしょうか。
なお、つみたてNISAで投資を行う場合などは、20年間同じ投資先に投資を続けるのが前提になります。運用先を途中で変えることができない場合は、アクティブファンドとインデックスファンドの選択はより重要です。ぜひこうしたデータを踏まえた上で、投資先は慎重に選んでいきましょう。