株式会社AWARDの渡邉です。
日銀の新総裁が決定したようだとして、各メディアから報道がありました。
1.日銀新総裁候補
2.何が求められているか
3.別の候補は固辞か
といった流れでご紹介させていただきます。
1.日銀新総裁候補
政府が日銀の次期総裁として頼るのは、国内屈指の金融政策の研究者である植田和男氏のようです。
植田氏は、これまで日銀新総裁の有力候補としては名前が挙がっていなかった人物ですが、ここに来て急浮上し、ほぼ調整が完了したようで、2023年2月10日に各社が報道をしています。
植田氏は、日本の経済学者であり、専門はマクロ経済学や金融論です。長らく東京大学で教鞭を執っていた人物であり、東京大学の名誉教授でもあります。また、過去には日本銀行政策委員会審議委員、東京大学大学院経済学研究科長などを歴任しています。
学識者の総裁は戦後初になります。
2.何が求められているか
次期の総裁には難しい役割が求められています。
・10年続いた異次元緩和の手じまい
・成長と物価上昇の好循環の実現
・市場機能の低下などの副作用への対応
などです。黒田氏が日銀総裁をやっている間に、日銀の状態は大きく変わりました。
国債の大量購入で、日銀の国債保有額は2013年3月の125兆円から、2023年1月の583兆円へと4倍超に拡大しています。これは発行済みの長期国債の5割以上にあたります。
また、異次元の緩和策の中で買い進めた上場投資信託(ETF)の保有額も1.5兆円から36.9兆円に増え、日銀が多くの上場企業の主要株主になるといういびつな状態になっています。
こうした状況の中で、どうすれば異次元緩和を大きな混乱なく手じまいできるか、というのが、次期総裁には求められていると言えます。
3.別の候補は固辞か
なお、黒田総裁の後任人事については、現在の日銀副総裁である雨宮正佳氏に打診が行われたという記事が数日前に出ていました。しかし、最終的な調整結果としては、植田和男氏に確定した模様です。
雨宮氏に対する日銀総裁就任の打診に関しては、政府が全否定するコメントをしているため、実際にあったのかはわかりません。
しかし、仮に雨宮氏が就任を断ったのだとするのであれば、やはり日銀の内部の方として出口戦略の難しさを感じてらっしゃり、次期総裁の打診を固辞した可能性もありそうです。そのくらい、黒田氏が残した異次元緩和の手じまいという課題は大きいと言えるかもしれませんね。
最終的な時期日銀総裁は、2月14日に国会へ人事案が提示され、衆参両院の同意を経て就任することになります。いやがおうでも高まる出口への意識。今後の日銀の動きに対して、市場がどう反応していくかしっかりと見ていきたいところです。