日銀、金融緩和の維持拡充

資産運用

株式会社AWARDの渡邉です。

1月17、18日に日銀の金融政策決定会合が行われ、金融緩和の維持が発表されました。

一部では緩和策の修正があるのでは、との観測もある中での政策の維持だったため、市場は大きく変動しました。また、むしろ緩和を拡充する策についても新たに発表されています。

1.世界の注目が集まる日銀

2.新たな緩和の拡充策とは?

3.市場との対話

といったトピックでご紹介させていただきます。

1.世界の注目が集まる日銀


世界の金融市場に最も影響を与える金融政策の決定機関といえば、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)です。また、ユーロ圏の中央銀行としてはECB(欧州中央銀行)があります。これらの中央銀行は、インフレを抑え込むために、金融引き締めとなる利上げを実行しています。

こうした世界全体の潮流から逆らう動きをしているのが、日本の中央銀行である日銀です。各国が利上げを次々に行う中、大規模緩和の維持を続けてきました。

しかし、2022年12月には長期金利の許容幅を広げるというサプライズの政策変更を実行し、市場から大きな注目を集めることになりました。今まで大規模緩和策の修正はしない、という姿勢を貫いていた日銀が、事実上の利上げと言える政策変更を行ったからです。

そのため、今回の2023年1月の金融政策決定会合では、また金融引き締めに繋がる政策変更があるのでは、という視点で世界中から注目されていました。

2.新たな緩和の拡充策とは?


そんな中で行われた金融政策決定会合でしたが、結果としては大規模緩和の維持が発表されています。さらに、大規模緩和を日銀だけで維持することが難しくなってきたと判断したのか、民間の銀行の力も借りる政策変更を行いました。

簡単に言えば、日銀が低利・長期の資金供給を民間の銀行に対して行い、その資金を元に公開市場で国債の買付を行ってもらう、という政策です。

日銀から低利で借りた資金で、それを上回る金利の国債を購入すれば、民間の銀行としてはリスクなく利益が得られることになりますし、それが国債の金利を低く抑えることにも繋がります。

金融緩和の維持が限界を迎えつつあるという声も出ている中、日銀としては様々な手を繰り出しながら緩和を続けていく方針であるのが伺えます。

3.市場との対話


こうした日銀の動きを受けて、市場は大きく変動しています。1月の金融政策決定会合の結果が発表された際にはドルに対して2時間ほどで3円も円安に振れましたが、その後の10時間ほどで今度は4円の円高に振れました。

市場の反応を見る限り、

『緩和継続か、ならばまだ円安の状態は続くな』

という意識となり円安に振れましたが、

『とはいえ、このような政策はずっとは続かないはず、政策の変更には近づいているのではないか』

といった意識で円高にまた振れたと言えます。

日銀の金融政策は複雑化してきており、緩和の維持に対して無理が出ているように思います。

世界から挙動が注目されている日銀。すこしの動きで市場には大きな影響を与えますから、今後の金融政策の変更に対しては、市場との対話を上手くやっていっていただきたいものと思います。


執筆者:渡邉亮

こちらのコラムは日々金融情報に触れて頂きたいという想いから継続して配信しています。あなたにとって大切な方にぜひご紹介ください。

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