J.P.モルガンの超長期市場予測2023

資産運用

株式会社AWARDの渡邉です。

毎年、この時期に発表される、J.P.モルガン・アセット・マネジメントの超長期市場予測

過去の投資のリターンのデータはあっても、未来の予測は世の中にあまり出回っていません。機関投資家向けに発表されている予測ですが、個人の投資家にとっても役立つデータではないかと思いますので、こちらで概要をご紹介させていただきます。

1.期待リターンの変化(円ベース)

2.超長期市場予測の概要

3.数値をどう活かすか?

といった流れでご紹介させていただきます。現在の市場は潜在的な長期的リターンが2010年以降で最大となっているとのことです。

1.期待リターンの変化(円ベース)


JPモルガン・アセットマネジメントは、約60の資産クラスについて今後10~15年の期待リターンやリスクを分析した超長期市場予測(Long-term Capital Market Assumptions)を発表しています。

円ベースで見た場合の、昨年の数字(2022年版()内に記載しています)と今年の数字(2023年版)を比較してみると、

日本大型株式:7.80%(5.00%)

先進国株式  除く日本 為替ヘッジなし :5.70%(3.00%)

新興国株式 為替ヘッジなし:7.50%(5.20%)

日本国債:0.70%(0.70%)

先進国国債 為替ヘッジなし:1.70%(0.70%)

新興国債券 為替ヘッジなし:4.50%(3.50%)

こちらの数字は、例えば日本大型株式であれば、今後10~15年間で平均年利で7.80%程度のリターンが望めるとJ,P.モルガン・アセットマネジメントが予測している、ということになります。

株も債券も昨年と比較して、期待できるリターンがかなり上昇しているのが、おわかりいただけるかと思います。

2.超長期市場予測の概要


2022年の市場は、資産が増えやすい状態ではありませんでした。

しかし、今年のドローダウンは長期的視点を重視する投資家に対しては、魅力的な投資機会をもたらしていることが、今回の市場予測から見えてきます。

辿り着く未来が同じ地点であるとするならば、現在の価格が下落すればするほど、今後の期待リターンは高くなります。

世界的なインフレによる利上げで、債券の価格は下落し、上昇してきた金利は株式市場にも重しとなりました。それにより、

・金利の正常化

・株式のバリュエーション(企業価値の評価)の適正化

が起こり、魅力的投資機会が今訪れている、と見ることができます。

3.数値をどう活かすか?


こうした市場予測を見ると、現在の自分の投資行動に対して、一定の自信を持つことができるのではないでしょうか。

過去だけをあてにするよりも、専門家による将来予測を参考に加えることは、不確定な未来を見通す上で有効な手段であると感じます。

とは言っても、この予測を妄信するのも当然良くはありません。今回の予測の中で最も将来の期待リターンが高いとされているのは中国株式で、日本円ベースでの今後の成長は9.20%とされています。しかし、中国株式しか保有しない、というのは世界の株式市場の規模から見ても、政治的なリスクの観点から見ても適切ではないと考えます。

あくまでも、将来予測を参考にしながら、ご自身にとって望ましいリスクリターンが得られるようなバランスを意識して分散投資を行っていきましょう。


執筆者:渡邉亮

こちらのコラムは日々金融情報に触れて頂きたいという想いから継続して配信しています。あなたにとって大切な方にぜひご紹介ください。

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