株式会社AWARDの渡邉です。
日本は投資で稼ぐ国、というイメージはありますか?
投資をあまりしていない日本人とは対照的に、日本の企業はかなり積極的に海外に売って出て投資でお金を稼いでいる一面があります。
1.海外からの投資収入50兆円
2.配当や利子の収支も世界一
3.構造的な問題点
といった流れでご紹介をさせていただきます。
1.海外からの投資収入50兆円
日本が海外から得ている配当や利子などの収益額は、2022年7~9月期に、年換算で50兆円を超えたとのことです。この数字は10年間で2.8倍に膨らんでおり、国内総生産(GDP)比で10%に迫ってきています。
日本は一体どうやってこのような巨額な投資収入を得ているのでしょうか?こちらは、企業がこれまで海外に対して行ってきた投資(M&Aなど)の成果です。
財務省・日銀によると、日本の対外資産は2021年末に1249.9兆円。これらがすべて収益を生む投資に回っているわけではないですが、ここから年間50兆円の収益を得ていると考えると、対外資産は約4%ほどの年間収益を生み出していることになります。
2.配当や利子の収支も世界一
こうした配当、利子は、日本企業の生き残り戦略として、長い時間をかけて培われてきたものです。国内の先細りする市場だけでは、将来の利益が厳しいことを見越した経営者が、海外への投資を増やしてきたことで現在の状況が作られています。
日本は長らく配当や利子の受取の収支である第1次所得収支で、世界トップクラスです。一時期は米国に抜かれていましたが、現在は2020年、2021年と連続で世界一に返り咲いています。
ちなみに2021年は26.6兆円の黒字となっています。国内での成長力が鈍化する中で、世界における日本の地位を守ってくれているのが、こうした対外投資であると見ることもできるでしょう。
3.構造的な問題点
ただし、こうして日本企業が利子や配当を受けていることを手放しで喜ぶことはできません。いくつか問題点を挙げてみると、
・海外投資のうち、直接企業に投資をしている場合、利益の一部は海外の子会社に残り日本には戻らない
・お金が海外に投資されることで国内の雇用が生まれにくくなり、日本人の生活は苦しくなる
・企業が稼いだお金は株主のものであり、海外から得ている配当や利子の恩恵を日本人全体としては受けられない
などがあります。
つまり、国内企業がいくら投資で稼いでも、日本人がその恩恵を家計に入れるためには、対外的に稼いでいる企業に個人として投資をするしかない、ということですね。
日本人は個人金融資産のうち投資にまわっている金額の割合がとても小さく、株や投資信託の割合は14.7%で、米国の52.4%やユーロ圏の29.9%を大幅に下回ります。
こうした企業が稼いでいるお金を家計に還流させるためにも、銀行に眠っているお金は今よりも積極的に投資するのが良いでしょう。国内の企業も海外の企業も頑張ってお金を稼いでいますが、その恩恵を受けるためには株式や投資信託を買うべきなのです。
日本の投資での稼ぎ方を参考に、家計に入るお金も大きくしていきましょう。