株式会社AWARDの渡邉です。
NISAの恒久化のニュースはこちらのコラムでもご紹介してきましたが、ついに制度の全貌が姿を現しました。
今までの制度から大きく拡充し、年間の投資可能額は360万円になるとのことです。こちらは、NISA制度を作る上で参考にされてきたイギリスのISA制度(非課税の個人貯蓄口座の制度)を上回る非課税枠の大きさとなります。
1.新しいNISAの全貌
2.政府が目指す目標は?
3.使い方の例
といった流れでご紹介させていただきます。
1.新しいNISAの全貌
今までのNISAは、一般NISAが年間120万円までを5年間、つみたてNISAが年間40万円までを20年間、非課税で運用できるという制度で、両制度の併用は不可でした。
今回の改正で、2024年からのNISAは、
・制度恒久化
・非課税期間は無期限に
・年間360万円まで非課税で投資可
(うち240万円までは個別株などにも投資可)
・生涯で買付残高1800万円まで非課税で投資可
(うち1200万円までは個別株などにも投資可)
と大幅に拡充することになりました。
2.政府が目指す目標は?
政府は今回の大幅改正で、NISA全体での投資額を今後5年間で合計56兆円へと倍増させる目標を掲げています。
また口座数も2倍の3400万を目指すとのことです。口座数で単純に56兆円の目標を割ると、1口座あたり約165万円ほどが投資がされている状態になると目標達成となります。
年間で360万円まで投資ができる制度になるので、目標達成は容易なようにも見えますが、実際には口座開設をしても利用ができていない方がたくさんいらっしゃいます。投資教育が進むことが、今後はますます重要になることが予想されます。
ニッセイ基礎研究所によると、日本の1人あたりの投資などから得られる資産所得(2019年)は1,800ドル(約25万円)と7,900ドルの米国の4分の1であり、ユーロ圏の2,600ドルを下回るそうです。NISA枠の拡充で、国民1人1人の資産所得を増やすことが政府の狙いであると言えます。
3.使い方の例
2024年より、生涯での投資可能枠が1800万円に広がりますので、月々5万円の投資をしたとしても、30年間は非課税で積み立て投資ができることになります。
月々5万円の投資をして年利4%で運用ができると、築ける資産は約3500万円となり、元本である1800万円の約2倍となります。つみたてNISAではすこし投資可能な枠が小さい、と感じていた方にとっては、今回の拡充は喜ばしいことと言えるでしょう。
また個別株への投資も最大で1200万円まで可能になるとのことですから、特定の企業の成長に期待する個別株投資も活性化しそうです。ただし、売買を頻繁にすると非課税の投資可能額をどんどん減らしてしまうことになりますので、長期投資したい銘柄で利用するのが良い選択となりそうです。
まとめ
2024年からのNISA制度は大幅に拡充することが決定しました。使い勝手が良くなる反面、
・投資枠が大きくなったことで無理な投資をする方が増えること
・元本が守られている制度ではないのを理解せずに投資して困る方が増えること
などが懸念点と言えます。
政府が自分のお金を自分で増やすように打ち出してきたと捉えて、拡大した制度を自分に合った形で上手に使っていきましょう。